広島大学大学院工学研究院エネルギー・環境部門 陸田秀実
![]() 図1 ばら積み船居住区表面の風圧分布 [拡大画像] |
![]() 図2 チップ運搬船の風圧分布 [拡大画像] |
![]() 図3 翼型硬帆列の空力解析 [拡大画像] |
広島大学 輸送・環境システム流体研究室には土井康明教授、陸田秀実准教授、中島卓司助教の3名が所属し、船舶・自動車・航空機等の推進・運動性能の向上、これら輸送機器が大気・海洋環境に与える影響、自然エネルギーを利用した発電技術、津波などの防災・減災技術に関わる教育・研究を行っています。これらに関わる諸問題を解決するために、流体力学理論、実験・観測のみならず、最新のコンピューター・シミュレーション技術 (CFD) を駆使し、基礎的かつ実用的な研究を行っています。ここでは、FrontFlow/red、OpenFOAM、粒子法、格子粒子ハイブリッド法などを用いたCFD技術に関する研究紹介をします。
船舶分野の研究では、ばら積み船居住区 (図1) やチップ運搬船 (図2) などを対象に風圧分布とその原因となる気流現象を把握、分析することで、風抵抗低減手法の提案を目指しています。また、翼型硬帆を用いた風力推進技術の検討 (図3) にもCFD技術を活用しています。さらに、非線形波浪中における船体の推進抵抗を推定するCFDツールの開発 (図4) も進めています。
自動車分野の研究では、車両運動の影響や操縦者の応答を考慮した空力車両運動連成解析技術の構築も進めています (図5)。エアロ・アクアバイオメカニクス分野においては、ザトウクジラの胸鰭を模した波状前縁翼 (図6) の研究を行い、その失速抑制メカニズムの解明と工学的応用を目指しています。自然エネルギー研究分野では、風作用下の洋上風力発電施設の運動シミュレーション (図7)を実施し、係留システムや浮体安定性の検討を行っています。防災・減災の研究分野では、新しい大型津波シェルターの開発や津波流の都市部への影響を明らかにする研究 (図8) を行っています。
以上示した研究の他に、スパコン京を用いた超大規模並列CFD解析技術、袋状コンテナ船の開発、漁船の省エネ技術の開発、貨物船機関室内の空調管理、船舶居住区のダクト騒音低減、潮流・波浪発電装置の考案・開発、柔軟発電デバイスの開発、鉄鋼スラグによる海洋環境改善技術に関する研究を行っています。 詳しくは、下記リンクのページをご覧ください。
![]() [拡大画像] |
![]() [拡大画像] |
|
図4 大波高中を航行するタンカーの運動シミュレーション | ||
![]() 図5 急な強横風が作用したトラックの空力 -車両運動連成解析 [拡大画像] |
![]() 図6 3次元翼周りの流線 (左図:通常の翼、右図:波状前縁翼) [拡大画像] |
|
![]() 図7 セミサブ型洋上風力発電施設の3次元浮体運動シミュレーション (粒子群はブレード後方の旋回渦を可視化したもの) [拡大画像] |
||
![]() [拡大画像] |
![]() [拡大画像] |
図8 津波シェルターおよび津波タワーに作用する津波の様子 |
![]() |
陸田秀実 広島大学大学院工学研究院エネルギー・環境部門 数値流体力学、大気・海洋環境工学 |
---|