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船体構造のトポロジー最適化

広島大学大学院工学研究院機械システム・応用力学部門 竹澤晃弘

図1 トポロジー最適化による橋の生成
図1 トポロジー最適化による橋の生成
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現在、中国や韓国との激しい競争に晒されている日本の造船業において、軽量かつ高信頼性の船体構造を設計することは極めて重要です。この高い設計要求に対応するため、近年では、人手による設計のみならず、最適化アルゴリズムと構造解析技術を組み合わせた構造最適化技術の設計への導入も検討されています。著者が取り組むトポロジー最適化もその一つであり、本記事でその船体構造への応用を紹介します。

まず、トポロジー最適化とは、対象となる構造に対して、外形を変化させるというよりはむしろ、ある場所における材料の有無を最適化する手法です。すなわち、何もないところに構造を作ったり、もともと材料が詰まっている場所に穴を空けたりといった、元の形状にあまり縛られない抜本的な形状変更が期待できます。図1はトポロジー最適化によって、分布荷重が作用する板に橋のような補強構造が生成された例です。

著者は常石造船との共同研究を通じ、このトポロジー最適化を船体構造に応用してきました。図2はブリッジウィングの軽量化を試みた例です。現在のウィングの側面と底面をトポロジー最適化し、得られた形状をもとに、最終的にトラス構造から構成されるウィングが設計されました。

図2 トポロジー最適化でのウィングの軽量化
図2 トポロジー最適化でのウィングの軽量化
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図3は過剰補強だった発電機下の構造を、トポロジー最適化により肉抜きした例です。トランスの左右を中心に肉抜きがされていることがわかります。この検討で、必要な性能を維持しつつ、質量を6割まで軽量化できることがわかりました。

図3 トポロジー最適化での発電機支持構造の軽量化
図3 トポロジー最適化での発電機支持構造の軽量化
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このようにトポロジー最適化は既存構造を抜本的に見直す際の強力なツールになります。当研究室では、この技術を引き続き船体の様々な箇所に応用していきたいと考えております。



竹澤晃弘 竹澤晃弘
広島大学大学院工学研究院機械システム・応用力学部門
構造最適化、構造解析

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