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長尺レール運搬船「PACIFIC SPIKE」竣工

(株)新来島どっく技術設計本部基本設計部船体計画課 松本 智

150m レール荷役
150m レール荷役
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全景
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新来島どっく大西工場にて世界初となる長尺レール運搬船 "PACIFIC SPIKE" が2014年8月29日に完工しました。本船は世界最長の製造・出荷長さとなる150メートルの鉄道用レールを船舶で輸送するという新しいコンセプトで開発・建造された画期的な船です。

本船最大の特徴は、長さ約155メートルの単一の貨物倉です。通常の外航貨物船は貨物倉が水密隔壁で仕切られており、積載できる貨物長さに制限がありましたが、本船は必要な強度・安全性を維持しつつ、この隔壁を取り払うという独創的なアイディアに基づいて設計されています。これにより、従来は25メートルの長さに分割して積載していたレールを150メートルの長さで輸送するという世界初のプロジェクトを実現しました。

特徴的な艤装品としては、左舷甲板上に設置された3台の50トンデッキクレーンと12枚のパネルで構成されたポンツーンハッチカバーがあります。デッキクレーンは3台を同調させることが可能となっており、1台を操作することで他の2台を連動させ、同じ動きをさせることができます。さらに、このデッキクレーンは移動可能なリモコンにより居住区前の操作デッキから遠隔操作ができるようになっています。デッキクレーンの運転室からの操作では貨物倉や岸壁に死角がありますが、リモコン操作とすることで人の動き、荷動きなど見通しの良い場所で安全に荷役作業が行えるようになりました。

ポンツーンハッチカバーは航海中のロングハッチの変形に追従できるよう考慮された仕様となっており、波浪により船体が変形してもハッチの風雨密性を保持できる構造としています。

本船は現在、日本−北米間の航路で順調に運航されています。鉄道の安全性向上に貢献する高品質150mレールを海外へ輸出できる唯一の船として、今後も更なる活躍が期待されます。

PACIFIC SPIKE 主要目
全長 (垂線間)×幅×深さ 189.9m (187.00m)×28.20m×14.00m
満載喫水 8.00m
総トン数 20,506
載貨重量 24,041t
積載貨物 長尺レール
主機関 マキタ-三井-MAN B&W 6S42MC7.1 型ディーゼル機関×1基
航海速力 約14.0ノット
定員 25名
船級 日本海事協会(NK)
船籍 パナマ


松本 智 松本 智
(株)新来島どっく
技術設計本部基本設計部船体計画課

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