三菱重工業(株)交通・輸送ドメイン船舶・海洋事業部下関技術部計画設計課 恩塚政憲
史料館内 [拡大画像] |
初入渠の修繕船 [拡大画像] |
建造船紹介パネル [拡大画像] |
展示模型 [拡大画像] |
弊社下関造船所は昨年2014年 (平成26年) に創立100年を迎えました。江の浦工場の史料館には、この長い操業の歴史の中で集積された貴重な史料を展示しています。
下関造船所は1914年 (大正3年) に三菱合資会社の造船拡大事業により長崎造船所、神戸造船所に続く第3の造船所として、交通の要衝である下関の地に船舶の修繕を主な業務として操業を開始しました。当史料館には、創業開始から現在までの当所とその周辺地域の風景や建造船の写真が解説付きで紹介されており、当時の時代背景とその要請からどのような船が下関造船所で建造され現在に至るのか、当所建造船の系譜を辿ることが出来ます。
操業時には船舶の修繕を主要業務として始まった下関造船所ですが開所数年後のうちに特殊船や作業船を建造に着手しており、以来特殊船のみならずフェリー、貨物船、軽合金製高速船など様々な船舶を建造し船主殿へ引き渡してきました。
当史料館では1956 (昭和32) 年に建造され、当時としては世界最大の軽合金艇として注目を集めた高速魚雷艇7号や、1989年 (平成元年) に就航した物理、生物、化学、地質、水産学の分野における基礎研究を行うことが出来る学術研究船「白鳳丸」など様々な建造船の模型が展示されています。
当所では操業以来船台で建造しており、船殻工事がほぼ終了すると、船主殿関係者を招待して進水式を執り行い、船台から船を進水させています。この進水に関連する様々な史料が展示されています。例えば、進水絵葉書がその一つ。歴代建造船の進水で製作された絵葉書が展示されています。私製絵葉書の発行が認められた1900 (明治33) 年頃から各造船所でも進水記念として絵葉書を作成するようになったそうです。進水式で配られた絵葉書は、「記念品」の他に、関係者が「船が無事に進水した」ことを知らせる「通信手段」としての実務的な意味合いもあったようです。
上記の他にも、電気溶接が導入されるまで実際に建造現場で使用されていた錨打ち機の実物や、船舶以外の油圧機器、複合材製品に関連する史料等も展示されています。平日8時〜17時で一般の方も申し込めば見学出来るようになっていますので、興味がある方は足を運ばれてはいかがでしょうか (お問い合わせ先:当所総務勤労課 電話番号 083-266-5978)。
高速魚雷艇7号 [拡大画像] |
進水絵葉書 [拡大画像] |
恩塚政憲 三菱重工業(株)交通・輸送ドメイン船舶・海洋事業部下関技術部計画設計課 性能設計 |