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新造船紹介 : TESS35及びTESS38

常石造船(株)設計本部商品企画部船体計画グループ 石川倫浩,山内 聡

TESS35 1隻目 Daiwan Elegance"
TESS35 1隻目 "Daiwan Elegance"
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常石造船株式会社 (本社 : 広島県福山市) は2015年1月30日、グループの常石集団 (舟山) 造船有限公司において、35,300MT型木材及びばら積み貨物船を竣工し、船主へ引き渡しました。本船は2012年に開発した "TESS35" の建造第一隻目となります。TESS35として、以降も受注を重ね、連続建造に至りました。

"TESS35" はカーゴロット3万トン±10%をターゲットに載貨重量を増加した、セミボックスシェイプ型のばら積み貨物船です。全長177メートル、幅30メートル、浅喫水で汎用性を重視したコンパクトサイズでありながらも載貨重量約35,300MT、かつ大容量の貨物を搭載でき、多様な貨物に対応する仕様を備えています。4基のデッキクレーンを搭載し、開口面積の広いハッチカバーと貨物艙に鉄鋼製品の輸送にも適したセミボックスシェイプ (半箱型貨物艙) を採用することで、高い荷役効率とメンテナンス性を実現しています。ツネイシ・エコノミカル・スタンダード・シップ (TESS) シリーズの開発30年で蓄積された船体形状の改善や環境デバイスの投入によって、燃費・環境性能に優れたエコシップです。

2015年にはTESS35の後継船として一段大型化させた "TESS38" を開発し、複数隻の受注に至っております。TESS38はTESS35より3メートル長い全長180メートルとすることで載貨重量を3,000MT増加し、輸送効率を高めた38,300MT型木材及びばら積み貨物船です。木材積み仕様を標準で採用し、甲板上にも木材を積載できるようにしています。TESS35と同様に、4基のデッキクレーンを搭載し、開口面積の広いハッチカバーと貨物艙を有したセミボックスシェイプを採用しています。1990年代自社建造のハンディサイズバルクキャリアと比較してCO2排出量を15%削減したエコシップです。

これらの船型を含めた実績を生かしつつ、今後もTESSシリーズのみならず顧客ニーズに対応した様々な船型や環境負荷を低減する技術の開発に取り組み、より良い船を提供していきます。

TESS35及びTESS38の主要目
船種35,300MT型
木材及びばら積み貨物船
38,300MT型
木材及びばら積み貨物船
長さ177メートル180メートル
船幅30.0メートル30.0メートル
深さ14.5メートル15.0メートル
載貨重量トンAbt. 35,300メトリックトンAbt. 38,300メトリックトン
主機三井MAN B&Wディーゼル機関6S50ME-B8.3三井MAN B&Wディーゼル機関6S50ME-C8.5
TESS35及びTESS38に共通するその他特長
  • プロペラ前部に取り付ける複数の翼型構造物「MT-FAST」を搭載。水流を整えることで推進効率が向上する。日本郵船グループ会社の株式会社MTIと共同で開発した。
  • プロペラ効率を極限まで高める「TOP-GR (Tsuneishi Optimized Propulsive Gear)」テクノロジーを採用。コンピュータによる緻密な計算とシミュレーションによって、翼数、直径、翼断面の形状、翼幾何分布を細部に至るまで最適化設計し高効率・低振動の省エネ型プロペラを実現。
  • 船首部の波の抵抗を軽減する「SEAWORTHY」を搭載。高い波でも抵抗が少なくなり、貨物搭載時のシーマージン (波浪中の抵抗増加) を最大約5%削減できる。広島大学と共同で開発した。
  • 風圧を低減する形状の居住区を搭載。広島大学と共同で開発した。
  • 鉄鋼製品など重量物の搭載に対応し、貨物艙のタンクトップ強度を高めている。
  • バラスト水処理装置を標準搭載。
  • バラストタンクは漲水艙なしでも十分な喫水を確保できる容量があるため、オペレーション上優れている。


石川倫浩山内 聡   石川倫浩,山内 聡
常石造船(株)設計本部商品企画部船体計画グループ
基本設計

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