ツネイシホールディングス(株)マーケティングコミュニケーション部 榊枝信一
ビジュアルマニュアル
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2016年、常石造船の生産体制の強化と生産効率の向上を目指して、これまでに蓄積してきた知識や技能を次世代の技能者に分かりやすく伝えるための「ビジュアルマニュアル」を制作しました。
海外拠点の従業員や生産量が増えている中、日本本社はマザー工場として、「価値の高い船舶の建造」「高い生産性での建造」「生産のイノベーション拠点」に加えて、「海外工場の支援」も求められています。
海外での生産量が増えると、現地労働者を短期間で大量に採用することになります。生産現場には経験と知識が不足した人材が増えるため、生産性の低下や品質問題に繋がりかねません。しかし、そのために日本本社から指導者を常に派遣し教育していく仕組みでは、マザー工場に負荷がかかり常に人員が不足してしまい、本来の生産機能を脅かしてしまいます。
このような、海外工場での人材教育の体制整備、次世代への安定的な技術の移転を解決するために、マニュアル作成プロジェクトを立ち上げることになりました。
生産知識は、技能者の経験や勘に基づくものが多く、主観的で言語化することが困難な「暗黙知」の部分が大きくなります。暗黙知を暗黙知のまま伝えようとすると人に依存するしかありませんが、技術指導者ごとにその内容が異なり、移転される知識に一貫性がなくなってしまいます。
こうした生産知識を、若い技能者や海外の技能者に分かりやすく教えるため、ビジュアルを多く用いることで均質に伝わるよう工夫し、かつ4言語別に制作しました。
ビジュアルマニュアルは、各職場(加工、組立、溶接、外業、運搬、船装、居装、機装、電装、塗装)で行われている「標準作業」をビジュアル化し、次に「標準作業」を構成する個々の作業を「要素作業」とし、「要素作業」を遂行するための技能を「基本技能」として段階分けして設定。今回のマニュアルでは「作業工程」と「ポイント」、「品質」、「安全」という手順でまとめています。
今回は生産現場である8職場のマニュアルを制作しましたが、今後は他の部署でもこのような取り組みを進めていきたいと考えています。
榊枝信一 ツネイシホールディングス(株)マーケティングコミュニケーション部 広報・マーケティング |