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研究活動

JSQSが定める品質標準の現状調査研究委員会

分野:工作

研究の背景:
旧日本造船学会 工作法研究委員会は、昭和39年に日本鋼船工作法精度標準:Japanese Shipbuilding Quality Standard(以降はJSQS)を発刊しており、JSQSは造船業界における鋼船工作の精度管理において必要不可欠なものとなっている。JSQSは、工作法研究委員会によって三年から四年毎に内容が見直され、改訂版の発行によって維持管理がされてきた。日本船舶海洋工学会 工作分野研究企画部会はこの活動を継承し、2011年度版を最新版として発刊する予定としている。
ところで、近年、国際海事機関(IMO)でGoal Base Standardsと呼ばれる国際基準を規定し、これに基づいた共通規則により船舶・海洋構造物を建造させる制度改革が進められ、工作精度、塗装品質についても国際統一標準を適用しようという動きが進んでいる。
このような状況を踏まえ、これまでに維持管理してきたJSQSの役割、位置づけを再確認し、Goal Base Standardsが普及する造船における工作精度の管理方法を議論し、確立することは重要であると考えられる。そこで、JSQSの最新版の発刊の必要性を再確認し、その実行組織の設立を検討した。

  1. 何をどこまで明らかにしようとするのか(目的と到達目標)

    現在のJSQSを改訂することは目的としない。本活動は、下記に示すようなJSQSの将来を検討するために必要な議論と情報を集約、整理することを目的とする。
    1. JSQSが最初に発刊されたのは1964年である。工作精度に関連する溶接技術、溶接材料、鋼材の技術革新は凄まじく、現状技術での精度標準がどのようになっているのか把握する。
    2. 現状の精度標準を確認した上で、JSQSとして改訂すべき項目、値を議論する。
    3. 世界的な精度標準/基準の動向を調査し、これまでと同様にJSQSの最新版を継続的に発刊できる体制を整備する。
    4. 船舶のグローバル建造時代におけるJSQSの位置づけ、役割に関して議論し、コンセンサスを確認する。
    5. 国際戦略に関して議論し、新しい時代に相応しいJSQSのあり方を明確にする。
    6. JSQSは船殻強度の観点から精度標準を定め、管理項目、精度標準などを決めていた。船舶寿命における塗装品質の議論が活発化している中で、JSQSと塗装品質および関連する工作品質の必要性を議論する。
    7. Goal Base Standardsの方向性を認識した工作精度標準のあるべき姿の議論し纏める。
    8. 中心とした塗装品質に関するプロジェクト研究委員会の成果を踏まえ、塗装品質も考慮したJSQSの役割を明確にする。
    9. 船舶の建造(工作)が、船舶の全体品質に関与する影響を再確認し、JSQSのあり方を議論する。
    10. JSQSに対する意識調査を行い、JSQSの将来を考える上での問題点の整理と課題の設定・検討を行う。
  2. 研究の特色、独創的な点及び意義

    1. 船舶のグローバル建造時代におけるJSQSの位置づけ、国際戦略に関する議論
    日本から韓国、そして中国、さらには近い将来、東南アジア、インドなどでも造船が活性化する可能性が指摘される。その様な時代の流れの中で、旧日本造船学会が主導的に構築したJSQSの将来像を考えることは重要である。本プロジェクトの発足を起点に、将来の船舶の品質に関して議論を展開し、さらに船舶のグローバル建造時代におけるJSQSの国際戦略の可能性、必要性などを確認する。
    1. 塗装品質を考慮したJSQSの位置づけ、国際戦略に関する議論
    IMO DE48 (2005年2月)から WBT塗装規則化(PSC)の審議が行われており、 DE49 (2006年2月)に結成された塗装規則案を作成するためのコレスポンデンスグループ(CG)にて船主団体、各国政府などが意見を頻繁に交換し塗装品質とその工作標準の策定が検討されている。工作法研究企画部会は、平成15-16年度プロジェクト研究の継続研究として、フリーエッジ処理に関してIMO規則より工数的に有利な代替案を開発すべく研究を行っており、成果を纏めている。この成果を有効活用するために、工作標準と塗装品質の位置づけを再確認し、船舶のトータルな品質保証に関して議論し、その標準のあるべき姿を明確にする。
  3. 国内外の関連する研究の中での当該研究の位置づけ

    JSQSは世界の造船工作精度標準の模範とされ、各国船級協会もJSQSに基づいて建造された船舶を高品質船舶として認定しているが、国内造船所の固有事情が反映された内容が含まれ、また各国造船業の国際競争が絡むため、そのまま国際統一基準に採用されることは難しい標準であった。この様な背景により、国際船級協会連合(IACS)が制定したIACS勧告第47号(REC47)が事実上の統一基準として扱われる可能性が生じた。しかしながら、IACS勧告第47号(REC47)は、不要に厳しい精度を要求する場合が確認されている。これは、施工品質標準でなく設計標準が多く含まれ、標準値は示されているが限界値が示されていない、などの問題点があるからである。このような現状認識と問題点を再整理し、先述しているように、JSQSの国際的な位置付けの確認と、将来戦略の可能性を議論する。

基本情報

委員会長(所属) 青山 和浩(東京大学)
委員会委員数 36名
キーワード 工作法、船体構造、艤装、塗装、溶接施工、工程計画、生産計画、自動化、品質マネジメント
活動期間 H24.9〜H25.6

参加方法

研究委員会への参加をご希望される方は、下記連絡先よりご連絡ください。

お問い合わせ先 [e-mail]: aoyama@sys.t.u-tokyo.ac.jp

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