名村造船所のかっこいいオヤジ、生産技術開発部技能伝承グループリーダーの佐藤 桂(さとう かつら)さんをご紹介します。
佐藤さんは、アーク溶接工の部門で高度な溶接技術と技能伝承を評価され、今年度の「現代の名工」に選ばれた方です。
平成20年度「現代の名工」佐藤 桂さん
この制度は、厚生労働大臣が、わが国最高水準の技能を有し、他の技能者の模範となるにふさわしい方を卓越した技能者として表彰する制度で、毎年約150人の方が受賞されています。
佐藤さんは他社での経験を積まれた後、平成2年に弊社に入社されました。現在の職場に異動する前は、船体建造やガスタンク製作に携わってこられ、その間も平成3年に第37回全国溶接技術競技会の被覆アーク溶接の部で最優秀賞(日本一!)、同じく平成4年の第38回大会では炭酸ガスアーク半自動溶接の部で優良賞を受賞され、平成12年には九州溶接マイスターを贈られています。この他にも数々の競技会で優秀な成績を収められており、まさに「現代の名工」と呼ぶにふさわしい人物です。
造船業界は、熟練技術の伝承が大きな課題となっており、優れた技術をいかにして若手社員に伝えるか苦慮しています。これに対し、弊社では「技能伝承グループ」という組織を立ち上げました。
このグループは、従来の溶接自動化推進、溶接技術指導などの業務に加え、若年層の溶接技術・技能のレベルアップおよび確実な技能伝承の強化と、社内における教育・指導体制の充実を図ることを目的とした組織です。佐藤さんは、この技能伝承グループのグループリーダーとして、日々後輩の育成にあたっておられます。
また、社外においては、毎年佐賀県立有田工業高校および佐賀県立唐津工業高校で「スーパー技能者の技」と題して、溶接講習会も行っておられます。佐藤さんがお持ちの造船に関する専門知識や、授業では触れることのない高度な技を前に驚きの声が上がり、授業の後半では直接技術指導を行い、難度の高い溶接技術を披露されたとのことです。
さらに、この他にも陸上自衛隊や海外造船所での技術指導依頼に対して、その優れた技術を惜しみなく伝授されています。
佐藤さんに対して、インタビューを行いました。
ご家族での富士山登山の様子
佐藤さんと筆者は同時期の入社で、一時期同じ町内に住んでいたこともあり、お酒の席にも何度かご一緒させていただきました。最初の頃は、普通のおじさんと思っていましたが、その後のご活躍は、まさにかっこいいオヤジそのもので、本当に頼れる大先輩です。
今回この企画を通して改めてお話を聞かせていただき、仕事だけではなく、プライベート面においても、いろいろな意味で名工としての存在感の大きさを再認識しました。佐藤さんには、今後も若手社員の指導と技術・技能の伝承をお願いするとともに、これらの優れた技術・技能を、さらに次の世代へと引き継ぐことが我々に課せられた使命だと思っています。
津上 由紀夫(つがみ ゆきお)
(株)名村造船所 基本設計部 機関計画課
課長
機関計画
(KANRIN(咸臨)第22号(2009年1月)発行当時)