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PCC/PCTCシンポジウムの報告

 2006年11月24日(金)、大阪府立大学学術交流会館において、関西支部・KFR主催のPCC/PCTCシンポジウムが開催され、150名の出席のもと、以下の講演が行われた。

 まず、川崎造船基本設計部の山本哲也氏が、「川崎造船におけるPCCの歴史」と題して、カーバルカーからPCCへの変遷について解説した。また最近の建造船の事例として、SEW(Stern End Wedge), 電子制御主機, 排ガス黒煙除去システムなどの最新技術を紹介し、さらに環境負荷低減技術として、太陽電池・燃料電池の利用やサンドイッチパネル鋼板の採用などを提案した.さらに2015年にパナマ運河が拡張されるのに伴い、Over-Panamax PCCの最適船型として現状の単胴船以外の船型適用の可能性も示唆した.

 続いて、日本郵船自動車船グループの真鍋治氏が、運航者の視点から、PCC/PCTCの現状, 日本における自動車生産/輸出/販売の推移とPCC隻数の関係の分析結果を紹介した。また、同船型の保針性の悪さ, 走錨などの運航上の問題を、事故例を挙げて説明し、錨の大きさについてはPCCの大型化を想定して基準の見直しが必要なことを示唆した.さらに、リフタブルデッキ, ジャンピングスロープ, センターピラーコンセプトの紹介をした。

 新来島どっく技術設計本部基本設計部の吉田耕一氏は、建造者の視点からとして、エアードラフトの問題や, 電子制御エンジン, ジャンピングスロープによる荷役効率化等を説明.さらに、2009年施行のダメスタ規則が従来の規則に比べ厳しくなることや,2014年完工予定のパナマ運河の拡張により船型が大きく変わるであろうとの予想を示した.

 大阪港埠頭公社の野瀬和宏氏は、港湾施設の運営・荷役の視点から、関西地区には自動車メーカーの生産工場は少ないが, 中古車オークション会場が集まっており、中古車輸出は活気に満ちていることや.中古建機の泥落とし洗車場を設置するなど、ユーザーの視点にたった港湾サービスを展開しているとした。

 海上技術安全研究所の藤原敏文氏は、PCCの運航に及ぼす風・波の影響についての研究成果について説明し、強風を伴う荒天下における抵抗増加は正面風浪のみだけでなくほぼ全ての風浪角に対して生じ,正面風浪時以外で抵抗増加が極大となる場合が存在することを紹介した.この結果、船体に働く直接的な風/波の影響だけでなく、風により誘起される船体の斜航・横傾斜,当て舵の影響を含めた上で運航性能を評価する必要があるとした.

 大阪大学の梅田直哉氏は、PCCの非損傷時復原性上の問題について説明し、ウエザークライテリオンはPCCに対して支配的な復原性要件ともなりうるが, それによりほぼ十分な横波中同調時の安全性を与えることになるとした.また向波中パラメトリック横揺れの危険はPCCに対して潜在的に存在しており, 今後この研究と対策を緊急に進めるべきであると提言した.

 最後の「新しいPCCの提案」のセッションでは、まずユニバーサ ル造船の廣田和義氏が、PCCの船側ガンネル部を矩形に隅切ることによって風による正面風圧力, 風圧横力および回頭モーメントを低減し, 船首部では正面風圧抵抗を減少させるため上甲板前端部を斜めに傾斜させた船型の実績について説明をした。
この技術を適用した“Courageous Ace”はShip Of The Year '03 を受賞したとした.続いて、大阪府立大学の池田良穂氏が、オーストラリアの造船所の提案する40ノット級のPCCの紹介、および同研究室で研究中の、センターハル内の横隔壁をなくしたトリマラン型PCCの紹介を行い、新しい時代のPCCの開発を呼びかけた。

 なお、本シンポジウムのテキストは、関西支部から2000円(送料共)で購入できる。

(研究運営委員 坪郷 尚)

PCC・PCTCシンポジウムの様子




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