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海外造船所紹介 : クバナー・マサヤード (ヘルシンキ)尾道造船(株)設計部 織田健爾
昨年 10 月にクバナー・マサヤード (Kvaerner Masa-Yards) のヘルシンキ工場 (フィンランド) を訪れる機会を得ましたので紹介したいと思います。 マサヤードは客船を主に建造し,世界最大となる 16 万トン客船の建造も予定(今回の訪問とは別の工場) されています。当工場はフィンランドに現在 3 つある大きな造船所のうちの一つで,従業員 2,000 名,開業は 1865 年です。 建造ドックは 280.5m × 34m × 9.5m で,風雨雪を防ぐ為建屋に覆われています。ただし中にエアコンは無く冬には外気温と同じく約 -20℃ になります。建屋の天井は開かず,台車で持ち込んだ最大 450 トンのブロックを天井クレーンで搭載します。ブロック製作は忙しい時期にはロシアやエストニアへ外注します。 艤装中の客船は 85,000GT / 乗客 2,600 人乗りで,概ねブロック 6 ヶ月,建造ドック 9 ヶ月,艤装 7 ヶ月の 2 年弱で建造。訪れた時は進水後約 2 ヶ月の状態で,火気工事は終了していました。数百名の作業者が,広い船内のあちこちで機器装着や内装・電装・塗装等を作業中。思ったより手作業が多いようです。各職人は多能工ではなく専門職人で下請け作業者はロシア,エストニア,ポーランド等から人が来ており,女性も多く見かけます。 ここの特徴は冬の寒さで,艤装船の屋上に大屋根を設置したり温風ダクトを設けたりしています。また氷点下では塗装が実質出来ず,外面の塗装は本格的な冬までに全て終えます。一方,寒さで海中部に生物の付着等がない為ファイナルドックはありません。 さてここに記したのは特に日本と事情の違う面でしたが,他に客船建造に必要な膨大な資材量,作業量を実感できました。又それを支える人材,資材外注業者など産業としての裾野の広さに,欧州客船製造業の一片を垣間見た気がしました。 関連リンク |
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西部造船会 The West-Japan Society of Naval Architects |