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日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨)

特集「造船におけるDX」にあたって

日本船舶海洋工学会 学会誌編集委員会

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、新しい情報システムの導入を基盤とするだけでなく、多くの場合に企業などの組織が現在のオペレーションを大きく変更する必要もある。組織には現行プロセスを維持する慣性力があると言われており、DXや新しい技術の導入は一般的になかなか進まない。

しかし、社会や市場、技術の変化に対応し、海事産業の競争力を高めるためにはデジタル技術の導入によるプロセス革新、DXの推進は必須である。

このような背景にあって、本特集は海事産業の多くの組織においてDXを加速させるべく、最先端のDXの取り組みを概観することを目的として企画させていただいた。 設計から運航までの各フェーズで、デジタル技術がどのように活用されているかについて理解を深めることができる。

天野昌祥氏らの「初期3次元プロダクトモデルを活用した船体構造最適化プロセスの構築」では船殻重量の推定プロセスを自動化するツールの開発により工数の大幅削減を実現した事例が紹介されている。

B・オレクシー氏らの「船舶推進主機のデジタルツイン―数学モデルとモデル同定の検証―」では、エンジンのモデルの詳細が述べられている。片濱伸一氏らの「日本シップヤードにおける就航船データ活用の取り組み」では就航船から得られたデータを活用するプラットフォームについて事例とともに紹介されている。

村山英晶氏らの「海事デジタルエンジニアリング」では、自動車業界で活用されつつあるMBSE(モデルベースシステムズエンジニアリング)の自動運航船開発への適用や、東京大学に設置されたデジタルエンジニアリングを活用した海事分野の技術開発と人材育成を推進する連携講座に関する情報など最新の技術トレンドがまとめられている。

本特集から、DXの導入に向けたヒントが得られ、DXの推進、導入の加速に少しでも貢献できれば幸いである。

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