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日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨)

特集「海事デジタルエンジニアリング -後編-」にあたって

日本船舶海洋工学会 学会誌編集委員会

本特集は、第109号で取り上げた海事デジタルエンジニアリングの後編となる。デジタル技術をどう使うのか、企業の中でデジタルトランスフォーメーション(DX)をどうすすめるのか、未成熟でありつつも非常に多くの技術情報があふれるこのテーマについて、基礎的な情報から海事や他産業における先端的な事例まで、幅広く取り上げる特集を構成した。特集を通じて、執筆者の皆様にはMBD、MBSE、DX、デジタルツインといった先端的な概念を、事例を含めながらわかりやすくご説明していただいた。

村山英晶氏の「デジタルエンジニアリングによる海事産業の変革」では、モデルベースのエンジニアリング技術の概要と、産業界を巻き込んで設立された東京大学の社会連携講座「海事デジタルエンジニアリング(MODE)」について述べられている。山崎美稀氏の「デジタルエンジニアリングとMBD・MBSEの未来展望:DXの推進と産業への影響」では他産業も含めた関連技術の動向が、梶谷哲平氏らの「舶用エンジンデジタルツインとモデルベース開発―三井E&Sにおける舶用エンジンのHILS構築と活用―」では舶用エンジンの開発におけるシミュレーションの活用について述べられている。篠田岳思氏の「造船DXの建造システムの検討例」ではDXによる造船所の革新の可能性に触れられている。藤田泰明氏らの「モデルベース開発を利用した基本計画について―風力推進補助船への活用―」では複合的なシステムの設計をシミュレーションで支援する例が取り上げられている。

本特集で取り上げたデジタルエンジニアリングに関する技術は、自動運航や海事産業のカーボンニュートラルの実現にとって非常に重要なものである。本特集が海事産業のデジタル技術応用に少しでも貢献できれば幸いである。

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