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日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨)

特集「船舶海洋分野における人材育成の新しい試み」にあたって

日本船舶海洋工学会 学会誌編集委員会

我が国の船舶海洋産業では、他の産業と同様に人材の育成・確保が問題となってきている。熟練技術者の退職による技術伝承の問題だけでなく、少子高齢化による労働人口の減少に伴う他産業との競合が起きている。一方、巨大な生産能力を持つ中韓の造船業や先進的な研究開発・建造技術を得意とする欧米との競争には、より付加価値の高い設計・生産技術が必要とされている。さらに、海洋資源や海洋再生可能エネルギーに従事する技術者の不足も指摘されている。これらに対応するために船舶海洋分野における優れた人材の育成が喫緊の課題である。

本特集では、博士課程修了者を活用した人材育成と人材確保の好循環を目的とした取り組み、大学を中心とした将来の海洋開発を担う人材の育成プログラムを紹介するとともに、企業における専門職の育成を目的とした高校等との連携プログラム、造船の業界団体を中心とした若手技術者の育成プログラム、ITを応用したシミュレータによる技術者育成プログラム、地域社会まで連携の範囲を広げた人材育成プログラムについて紹介する。

はじめに、科学技術立国に必要なイノベーション想像力、技術開発力に対応できる人材として求められている日本人学生の博士課程修了者について、人材の育成と確保の好循環を目的とした海上技術安全研究所における取り組みを海上・港湾・航空技術研究所の大和 裕幸理事長、海上技術安全研究所の谷澤 克治氏に紹介して頂いた。

次に、海洋における資源、再生可能エネルギーの開発への我が国の参入・拡大の原動力となる人材の育成を目的とした産学官公が連携したコンソーシアウムの取り組みについて、日本財団の吉田 正則氏に紹介して頂いた。さらに、船舶海洋産業の国際化に適応できる人材の育成、海底深部での海洋開発に必要な総合的な技術力をブラジルから学ぶことを目的とした、日本の先端的な船舶海洋工学教育とブラジルの海洋開発の経験に基づく知を融合した世界最先端の教育を提供する日伯の共通教育プログラムについて、東京大学の佐藤 徹教授、和田 良太助教に紹介して頂いた。

次に、企業における専門職の育成を目的とした事例を紹介する。はじめに、海技人材育成の取り組みの例として、キャリアの異なる乗組員を様々な船種や航路に適応させることを目的とした、船舶管理会社における取り組みを、ツネイシホールディングス(株)の清水 亜也子氏に紹介して頂いた。続いて、団塊世代の大量離職や少子化の時代において、地域産業の活性化を支える労働者の確保と人材育成を目的とした高等学校における取り組みについて、今治工業高等学校における事例を同校の西岡 誠氏に、玉野商工高等学校における事例を(株)三井E&Sマシナリーの高鳥 健一氏と玉野市教育委員会の住田義広氏に紹介して頂いた。

また、若手技術者の育成と定着を目的とする造船特有の専門技術の習得を行う中小造船業の若手技術者の育成プログラムについて、日本中小型造船工業会の富澤 茂氏に紹介して頂いた。

続いて、人材育成へのIoT 利用の例を紹介する。技能伝承を目的とした取り組みとして、塗装シミュレーターを用いた若手作業者の教育の事例を長崎総合科学大学の松岡 和彦准教授に、曲率線展開法のシステム化による現図と曲げ加工の人材育成の事例を海上技術安全研究所の松尾 宏平氏に紹介して頂いた。さらに、海洋開発には欠かせないが、国内には少ないDP(自動船位保持)システム搭載船の操船訓練を目的としたDPシミュレータを用いた教育訓練プログラムについて、海上・港湾・航空技術研究所の横井 威氏に紹介して頂いた。

最後に、一企業にとどまらず、地域社会、教育機関、行政機関が連携した造船技術者の人材育成の取り組みについて、長崎サミットプロジェクト基幹製造業振興対策WT に紹介して頂いた。

本特集が、読者の皆様の船舶海洋開発分野における人材育成について考える機会、一助になれば幸いである。

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