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日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨)

特集「海事産業におけるサイバーセキュリティ対策」にあたって

日本船舶海洋工学会 学会誌編集委員会

情報通信技術の発達や通信インフラの普及に伴い、新たなビジネス環境が登場している。海事産業においても、船舶機器のデジタル化やIoT活用などの船舶システムの高度化は勿論、港湾や陸上施設など幅広く情報通信技術の活用が進められており、業務効率向上や安全性向上、更には環境負荷低減などが期待されている。一方で、脆弱性を狙ったサイバー攻撃などのサイバーセキュリティ上のリスクへの懸念が高まっている。本特集では、海事サイバーセキュリティに関する国際動向や国内の取組み、技術情報及び人材育成について紹介する。

はじめに、東京大学の稗方和夫准教授に、横断的な組織で実施された海事サイバーセキュリティ検討プロジェクトの概要並びに海事サイバーセキュリティに関する国際動向の的確な把握と国内海事セクターにおけるサイバーセキュリティ対策の促進を念頭に行われた活動内容を紹介して頂いた。

海事産業におけるサイバーセキュリティ対策について、様々な国際団体で議論されガイドライン策定が進められている。日本海事協会の斎藤直樹氏に、最も影響力のある国際海事機関に加え、ボルチック国際海運協議会、国際船級協会連合、そして、日本海事協会の最新動向を紹介して頂いた。

船舶の運航に当たって、サイバーリスク対策や管理をいかに行うかが重要となる。(株)MTIの柴田隼吾氏、牧山宅矢氏、安藤英幸氏に、船舶安全管理システムにおけるサイバーリスク管理について、船舶運航者が講じる管理対策に加えて、より高いサイバーリスク管理を実現するための建造時からの対応について紹介して頂いた。

続いて、情報通信分野を専門とする二つの公的機関より、海事産業におけるサイバーセキュリティ対策に通ずる技術情報や取り組みについて紹介して頂いた。

国立研究開発法人情報通信研究機構の中尾康二氏より、脅威の根源となっているマルウェアの変遷、サイバー空間における脅威や、その脅威に対抗するためのセキュリティ技術及び将来に向けたセキュリティ技術のあり方やその方向性について紹介して頂いた。

また、独立行政法人情報処理推進機構の桑名利幸氏、辻宏郷氏、木下仁氏に、制御システムのセキュリティの分析マネジメントから人材育成に至るセキュリティ対策支援への取り組みを紹介頂き、更に、海運業界での事例を交えた制御システムの取り巻く驚異の動向や海運業界のセキュリティ対策強化についても紹介して頂いた。

情報セキュリティに関する人材育成は、重要な課題として認識されており、様々な育成プログラムが提供されている。東京大学の宮本大輔准教授に、国内における人材育成プログラムの代表例や、セキュリティ人材像や講義を通じた人材育成プログラムについて説明を頂いた。そして、セキュリティ人材に求められる能力の中核であるシステムを守る技術要素を詳細に紹介頂き、加えて、情報セキュリティ管理を行う上で欠かせない、国際標準・法律・規制や組織・体制の理解に向けた教育プログラムを紹介して頂いた。

最後に、ジャパン マリンユナイテッド(株)の橋口展明氏と(株)エヌ・ティ・ティ・データの松尾俊彦氏に、船上機器システムにおけるサイバーセキュリティ対策の取り組みとして、既に他産業で活用されているペネトレーションテストの有効性確認や知見獲得を目的に実施されたテストの概要を紹介して頂いた。

本特集全体では、国内外の動向をはじめ、サイバーセキュリティの技術情報や人材育成に関する記事もあり、海事産業においてサイバーセキュリティに取り組まれている方のお役に立つことができれば幸いである。

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