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日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨)

特集「水素社会構築に向けた取り組みと技術開発動向」にあたって

日本船舶海洋工学会 学会誌編集委員会

水素は燃焼などのエネルギー放出の際にCO2排出を伴わない究極のエネルギー源として注目され、脱炭素化への切り札とされている。我が国では世界に先駆けて2017年に国家戦略を策定し、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて歩みを進めている。本誌では、クリーンエネルギーと温室効果ガス削減の取り組みについて特集企画やフォーカスで継続的に取り上げており、第88号特集(2020年1月)で洋上風力発電関連技術、第92号特集(2020年9月)の排ガス規制動向に関連してゼロエミッション船構想、第93号フォーカス(2020年11月)で燃料電池船の解説を行ってきた。本号では、水素のエネルギー利用に焦点を当てて特集をお届けする。本企画では、船舶海洋分野における水素関連技術だけでなく、水素社会の基盤構築を目指した総合的な取り組みと、広い分野での関連技術動向を解説することを目的とし、二部の構成とした。

第一部では社会基盤構築の取り組みに焦点を当てた。水素社会の構築には、水素をエネルギー源として使う技術だけでなく、水素を安定かつ安全に供給する社会基盤、いわゆるサプライチェーンが必要となる。本企画では、国、産業界、自治体の取り組みを取り上げて紹介を行った。国の取り組みについては、経済産業省資源エネルギー庁の藤村氏に、我が国の基本戦略と体制の解説をいただいた。また、産業界のサプライチェーン構築に向けた取り組みの紹介を、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構の東氏に紹介していただいた。さらに、自治体の取り組みとして、山梨県と神戸市の事例を取り上げた。山梨県では、産官学が連携した取り組みを展開しているが、これの紹介を山梨県企業局の坂本氏、東レの出原氏、東光高岳の石渡氏に共著で解説をいただいた。また、「水素スマートシティ神戸構想」の取り組み事例紹介を、神戸市企画調整局の南部氏にしていただいた。

第二部では、第一部で紹介した社会基盤構築に必要な技術開発の動向について、サプライチェーンに沿って解説を行う構成とした。サプライチェーンは、水素の製造から消費までの一貫した流れであるが、水素製造後の①貯蔵、②運搬、③利用の3段階に分けて解説を行った。①貯蔵技術については、水素の貯蔵技術全般の解説と中小貯蔵設備の技術動向の紹介を、岩谷産業の辻上氏に解説していただいた。また、大型の貯蔵設備については、川崎重工の猪股氏、橋本氏、山之内氏、山本氏に船舶への搭載も視野に入れた解説をしていただいた。また②運搬技術については、2019年12月に進水した世界初の液化水素運搬船の開発について、川崎重工の村岸氏に解説をいただいた。さらに③利用技術については、大型の発電用ガスタービンにおける水素利用と燃料電池を用いた船舶での利用を取り上げた。発電用ガスタービンについては川崎重工の堀川氏に技術解説を行っていただき、燃料電池の船舶での利用については九州大学の北原先生に総合的な解説をいただいた。

国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)では、17の分野別目標を掲げているが、地球規模の気候変動に対する取り組みとクリーンエネルギーの利用拡大が取り上げられている。脱炭素社会の構築に対する取り組みは、遠い将来の夢物語でなく、現実的かつ具体的な技術課題として取り組まれている。船舶海洋工学分野は、その要となる技術分野の一つであり、本企画が技術発展の一助となることを期待して、特集をお届けするものである。

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