日本船舶海洋工学会論文審査委員会・論文の審査に関する内規
2. 論文審査委員会
(1) 論文審査委員会の構成と機能
- 論文審査委員会(以下「委員会」という)は細則第23条第2項に基づき、以下の事項の審査等を行う。
・論文集に対する投稿論文の審査
・論文集の編集(以下略)
- 委員会は、論文審査委員(以下「審査委員」という)で構成する。審査委員は正会員とし、17以上25名以下で構成する。
審査委員は、その任期を2年とし正会員中から理事会の議を経て会長が委嘱する。審査委員は、選任された時点で、原則として65才未満であるものとする。審査委員は3期連続して重任することはできない。
- 委員会は、委員および委員経験者のなかから論文審査委員長(以下「委員長」という)を選出する。委員長は、その任期を2年とし、3期連続して重任することはできない。委員長は選任された時点で原則として65才未満であるものとする。
- 委員長は、委員会を主催し、必要と認めた場合に審査委員の中から委員長代理と、委員会の運営について委員長を補佐する幹事を指名することができる。
- 委員会に審査部門を置き、委員は何れか一つの審査部門に所属する。審査部門には、主査を置く。
- 委員会に論文査読のための査読委員(100~150名)を置く。
査読委員は個別論文の査読を行い、査読結果を委員会に報告する。
審査委員は査読委員を兼ねることができる。査読委員は会員以外の者であっても差し支えない。
査読委員は、主査の推薦により理事会の議を経て会長が委嘱する。
- 委員会は投稿論文1件に対して担当審査委員1名と査読委員2名を査読担当者として指名する。
- 委員会は担当審査委員及び査読者から提出された査読結果によりその論文の採否を審査し、必要な事項を著者に伝達する。
- 委員会は、査読結果とそれに対する著者回答をもとにその論文の掲載可否を判定する。
- 査読結果の評点が分れたり、査読委員と著者の見解が大きく分かれる場合には、担当審査委員は主査と協議の上、適切な第3査読者を指名し、委員会はその査読結果も含め掲載可否の総合判定を行う。
- 委員会は適切な査読委員の指名や査読委員の負担の平準化など論文審査運営全般に対して責任を持つ。
- 委員会は論文の投稿状況を把握し、必要に応じて投稿を促進する。
(2) 審査委員・査読委員に求められる資質(略)
(3) 審査分野
委員会は次の審査部門に分ける。(詳細な内容とキーワードは表2を参照)
- (環境海洋技術
- 海事・海運
- 計画
- 設計・生産技術
- 装備技術
- 推進性能
- 運動性能
- 材料・構造
- 歴史(技術・文化)
表2 審査部門とキーワード
部 門
| 部門名
| キーワード
|
第1部門 |
環境海洋技術 |
海洋調査、海洋環境、海洋環境計測、海洋環境評価・評価基準、海洋汚染対策、海洋生態系、海中機器 |
第2部門 |
海事・海運 |
海事ネットワーク、海事データベース、港湾・荷役方式、物流、航海・海運システム、船級、法規、国際条約 |
第3部門 |
計画 |
システム分析、概念設計、基本計画、構造計画、社会海事計画 |
第4部門 |
設計・生産技術 |
海洋環境荷重評価、基本設計、性能設計、構造基本計画、構造詳細設計、構造規則、設計基準、CAD、溶接・工作・塗装、建造・現地工事、CIM・CAE、保全、船舶・海洋構造物検査支援システム、船殻・機関モニター、応力履歴計測、船舶・海洋構造物補修・改造・解轍、ライフサイクル情報管理 |
第5部門 |
装備技術 |
主機・推進系設計、機能システム設計、配管艤装、外(鉄)艤装、居住区艤装、艤装工作、機能(甲板、荷役、スラスター等)機械、火災安全性、避難安全性、機能システム安全評価・対策、作業船 |
第6部門 |
推進性能 |
船舶・海洋流体力学、船体抵抗、船型設計、推進装置 |
第7部門 |
運動性能 |
船舶・海洋構造物運動性能、操縦・運動制御、係留・曳航性能、衝突・転覆・安全性評価、乗り心地評価、操船環境評価、操船システム |
第8部門 |
材料・構造 |
準静的応答、動的応答、疲労、破壊、腐食、金属材料、複合材料、座屈、最終 度、衝突・座礁解析、構造力学、構造解析システム、構造最適化、構造信頼性 |
第9部門 |
歴史 (技術・文化) |
海事技術史(造船・航海・輸送、および関連の施設・物・人物・交流も含む)、ふね遺産、修復・復元・保存技術 |
上記部門は、以下の考え方に基づき設定されている。
1 主対象・用途あるいは境界条件に係わる部門 ただし環境海洋技術には技術とその技術により初めて切り開かれる科学も含まれる。 |
海事・海運、環境海洋技術 |
2 概念の形成に係わる部門 類似の既存のものがある船とちがい、概念形勢そのものの創造が内容である。 |
計画 |
3 システム構成と実現の手段に係わる部門 |
設計・生産技術 |
4 構成要素に係わる部門 |
装備技術 |
5 基礎技術・手段に係わる部門 |
推進性能、運動性能 材料構造 |
3. 委員会の運営(略)
4. 日本船舶海洋工学会論文集に掲載する論文の審査
- 日本船舶海洋工学会論文集に掲載する論文の審査は、別に定める「日本船舶海洋工学会論文集掲載論文投稿規程」に従って応募されたものを対象とし、部門担当審査委員1名と査読委員2名が行う。
- 査読委員が当該論文の著者の場合、担当審査委員及び査読者の選出には関わらない。
- 査読委員は、別添の「論文審査のガイドライン」に従って論文を査読し、「日本船舶海洋工学会論文集掲載論文投稿規程」に記された論文審査の事項に適応するか否かを検討のうえ、つぎのいずれかの評点をつける。
(A) 掲載可 (B) 修正後掲載可 (C) 修正後再判定 (D) 掲載不可
なお、内容の訂正、長さの制限等の指定があれば付記し、所見を添えて査読結果を担当審査委員に報告する。
- 担当審査委員は論文掲載可否の判定結果と査読所見を取り纏めweb編集システムを通じ主査に連絡する。主査は審査結果を取り纏め委員長に報告する。
- 委員長は、主査の審査結果及び論文原稿を基に論文の採否の判断を下し、その結果を著者に伝達する。掲載可(採択)の通知の際には、必要に応じて微修正の指示をし、その修正を反映した最終原稿をPDFファイルで事務局へ提出するよう通知する。その通知文には、句読点など体裁の微修正以外の内容の修正は原則として受け付けないこと、最終原稿はPDFファイルのみでの提出であることを明記する。
- 掲載可の決定後、著者が文章等に修正を行う希望がある場合には、著者は修正内容とその理由を明記した「修正願い」を委員会へ提出しなければならない。その内容を委員会が承認した場合のみ修正が許される。修正内容が論文の本質に関わる場合には、担当審査委員は査読委員へ査読を再依頼しなければならない。
- 印刷前の版下は著者による最終確認を行うが、確認依頼のメール送付から48時間以内に返事をすること、印刷過程での明らかなミス以外の変更は原則として受け付けないことを最終確認依頼に明記する。
- 委員会は、論文審査の結果を理事会に毎年2回以上報告する。
- 著者を含め、外部に対して担当審査委員及び査読委員の氏名及び評点は一切公表しない。
5. 日本船舶海洋工学会論文集に掲載する討論の審査
日本船舶海洋工学会論文集の論文に対する書面による討論とそれに対する著者回答は、当該論文の担当審査委員がその査読と論文集への掲載可否の判定を行う。
論文審査のガイドライン
日本船舶海洋工学会論文審査委員会
- 募集要項で指定した分野、内容であること。
- 「新規性」「独創性」
研究テーマに対して、従来の研究でどこまでが明らかになり、何が不明なのか、また著者のオリジナリティーがどの点にあるのか、が論文中に明記されていること。そうでない場合は「演習問題的」な論文とみなされる。また他の研究者の論文との重複や、あるいは著者の前報との重複が顕著である論文も「内容が公知」や「出版公表済み」とみなされ減点される。レビュー論文においては本項目は重視されない。
- 「有用性」
明確な研究目的が明記してあること、あるいは工学的、工業的にも実用上意味があること。これが無い場合は減点の対象となる。論文審査委員会としては、産業界に所属する会員が実務への応用に興味を持つような「有用性」評価の高い論文の投稿を期待する。
- 「完成度」
現状を分析して立てられた研究目的に対して、目標に沿った成果が得られていること。それが無い場合は「完結性なし」として減点される。
- 「信頼度」
論文の骨子となる部分の理論、数式、計算、実験、結果の解釈がいずれも誤まり無く展開されていること。誤りがあり、その論文の結論が大幅に異なったものになる場合は「基本的な誤りあり」とみなされ大幅な減点の対象となる。
- 「了解性」
書き方、議論の進め方が論理的かつ明確で、読者に分りやすいものであること。内容が理解できないほどに記述が冗長ないしは不足していれば、「表現理解困難」、あるいは「論文構成不備」とみなされ減点の対象となる。
- 「網羅性・公平性」(レビュー論文のみ)
十分な量の文献等の調査を行い、独自の視点で分野を整理・展望し、網羅性、信頼性、公平性が担保されていること。
- 総合評価は下記の通りとする。
(A) 掲載可
(B) 修正後掲載可
基本的に掲載可である。内容改善の示唆を与えるが再査読は行わない
(C) 修正後再判定
修正要求に対する著者の修正原稿を査読後に再判定する。
(D) 掲載不可