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シリーズ:学生突撃レポート

Vol.014 (株)アルモニコス

写真1 アルモニコス東京オフィス入口

1.はじめに

今回、3次元形状処理のコンサルティング・受託・研究ならびに開発を主に行っている、(株)アルモニコスの東京オフィスにて取材をさせていただいた。東京オフィスは東京駅から徒歩1分ほど歩いたビルの11階に位置する。

本記事では、アルモニコスの製品が日本のみならず世界中で用いられて効率化に役立っていること、また、造船分野においても多大な貢献をする可能性があることについて紹介させていただく。

2.会社概要

アルモニコスというのは、スペイン語でハーモニーを意味する単語である。1984年に設立し、取材させていただいた2014年3月12日は創業30周年の記念日であった。本社は浜松市に構え、同じ浜松市に研究開発センターを構える。そのほか、今回訪れた東京オフィス、ならびに今春、大阪にもオフィスが開設されるということで、ますます事業規模が大きくなっているという印象を受けた。

事業内容は、主に3次元形状処理であり、個々のお客様の御要望に応じた受託開発と、その成果をシーズとして汎用ソフトとして開発・市販するパッケージ開発に大別される。

写真2 ガラス瓶の設計システム(NeoYDS)

受託開発においては、アパレルや医療関係、音響など、様々な分野の3次元形状処理を行うソフトウェアの開発をされている。また、取引企業は日本のみならず、海外にも広く展開されているとのことであった。説明を聞いた中で特に興味を持った開発は、ビンの形状に関するものであった。発注者から、同じ高さのままで内容量を増やしてほしいといった注文や、スパイラルを入れた容器にしたいなどの要求を、一つ一つオフィスに持ち帰って検討するのではなく、打ち合わせのその場で検討可能にするソフトを開発されているということであった。

実際に取材時に、船体ブロックを模擬したモデルにおいて、パイプにバルブを取り付けたり、パイプの径を変えたりするなどの処理が、瞬時に行える様子をデモンストレーションしていただき、非常に容易に設計可能であることがわかった。このような3次元化ソフトを用いることで、船舶設計を非常に効率化させることが可能であると感じた。

そして、このような3次元形状処理を利用した受託開発の成果をベースとして、以下の3種のソフトウェアがパッケージとして販売されている。

写真3 撮測3Dによる3次元形状の取得

まずspGateと呼ばれる3次元CADデータを変換するソフトウェアである。そのほかにspGaugeと呼ばれる非接触測定点群と3次元CADデータを利用した製品検査システムがあり、レーザ計測器などで計測をした点群と、3次元CADデータを比較し、製品形状の異常を検知するものである。また、spScanと呼ばれる、実物を計測した点群から3次元CADデータを作成するソフトも開発している。

さらに、形状の取得・計測について、極力手軽に行いたい、という要望に応えるため、撮測3Dというものも開発されている。これは、カメラ1台で撮影した画像から、3次元データを取得することを目的としたソフトである。

写真4 造船ブロックの配管の3D形状
写真5 バルブ類の3D 化

一方、日本海事協会の「業界要望による共同研究スキーム」による支援を受けた共同研究において開発したソフトウェア「ClassNK-PEERLESS」が、先述の、3Dレーザ計測機で取得した点群から船体ブロックのモデリングを行うシステムである。これによって船体ブロック程度であれば、従来までは1~2週間程度は要していた、配管の改造設計などで必要な船体の現状のモデル化が、1~2日程度で可能になるとのことで、1オーダーの時間の高速化が可能なソフトとなっている。

前述した既存物をモデリング化するspScanは、曲面・曲線を主体とした複雑な形状を、通常のCADでモデリングしたものと同等の精度でモデル化することを目指したものであったが、このソフトは船舶に用いられる配管、バルブ、フランジといった、規格化された対象物の形状を、一定の推測を含めて定義することで、高速のモデル化を図っており、実務上において、非常に有益であるように感じた。

以上のように、アルモニコスでは、3次元形状処理に特化した事業展開を行っている。

3.オフィス見学

取材当日は、営業推進・商品企画室ソリューション営業部の宮崎様、宇佐見様に説明をしていただいた。訪問したのはオフィスであり、工場等ではないため、実際に何かの現物を製作していることはなく、パソコンが並ぶオフィスであった。

写真6 オフィスの様子

当日は、業務を行っている方の多数が出張していたため、オフィスにはあまり人がいなかった。そのため、実際にお仕事をされている場面を拝見することはできなかったが、オフィスにはパーテーションがなく、隣同士の間隔も狭くなっていたため、全体的に人同士の距離が近いと感じられた。ソフトウェア開発は1 人で黙々と作業を行っていくイメージを私は持っていたため、少し想像と異なっていた。実は、ソフトウェア開発において、コミュニケーションは重要ということで、仕切りをなくし、風通しを良くしているという話を聞いた。以前は仕切りがあり、隣の人同士であってもメールでやり取りをしがちであったが、このようにすることで円滑なコミュニケーションを行うことができ、業務の効率化が行われたという話を伺った。

インタビュー当日は、製品紹介をしていただいたのち、実際にソフトのデモンストレーションをしていただいた。その中で、アルモニコスが果たす役割は、製品を3次元化することが大きいが、その3次元化したデータを「活かす」ということを常に考えているということを何度かおっしゃられていた。例えば、2次元データだけでは、実際に施工したときに、配管がぶつかりあってしまい、施工できない場合がある。しかし、前もって3次元化しておけば、そのような問題はなくなる。

写真7 spGaugeによる検査例

また、説明の中で印象に残る言葉があった。それは、「3次元データだけでは、絶対に設計・施工は無理である」という言葉である。実際に施工するにはやはり、2次元のデータが必要になってくるとのこと。3次元データは、立体的に表現することで、全体像を明確にすることを目的にしており、3次元データを用いて施工するのではなく、イメージ化された3次元データをもとに、2次元化したデータを作成して施工していく。このようにすると、3次元化のメリットはとても大きい。

他のメリットとして、3次元データには国籍がないということが挙げられる。というのは、言葉を用いた指示が不要であるためだ。2次元データは、実際にパイプの直径が何mm、角度が何度など、言葉を用いた指示が必要であり、識字率が低い国では障害となっていた。しかし重要な個所は色づけ等をほどこすことで目立たせることができ、言語を用いることなく全体的なイメージを想像することが可能となった。

また、自社製品を開発することで、自分たちに必要な条件を取り入れたソフトを開発でき、また、他の良いところのみを取り入れることで、よりよい製品を開発することができる。一社一社異なるオーダーにも対応可能であり、顧客の企業がより使いやすいソフトを開発することができることを、誇りにしておられるように感じた。

4.インタビュー

取引企業に自動車関係が多いが?
自動車の開発スパンは4~5年と短く、その分だけ設計頻度も多くなる。また、自動車は流線形状が多く、市販のソフトではその定義、調整などのハンドリング機能が不十分で、設計・検討の効率化を図るには難しい部分が多いことから、弊社に依頼してくることが多くなっている。しかし、自動車のみならず、電機メーカーや機械メーカーなど、他分野に関する研究開発も行っている。
先駆的な事例(特に自動車分野において)は?
一例としては、加工した部品形状と設計形状との差を解析し、それをもとに金型の修正・調整など、生産工程・設備へのフィードバックを行って、製品品質の向上につなげた事例がある.このような、設計支援・生産支援の分野を中心に、様々なソフトウェア開発を行っている。
船舶・海洋工学に対して考えられる応用例は?
バラスト水管理条約が発効すると全世界で数万隻という就航船に対して、わずか数年の間にバラスト水処理装置を搭載するというエンジニアリングを行う必要があり、作業の効率化が求められている。そこで、現在「ClassNK-PEERLESS」を用いることで、より効率的に設計の検討を行うことができるようになり、これは実際に既に使用されている。もちろん、現状でも3次元化データを用いることなく、設計の変更を行うことは可能であるが、これによって、設計時間を1オーダー短縮させることは可能であり、出来ていたことを効率化する方向性において貢献できると考えている。
ただし、自動車などに適用しているシステムを造船においてもそのまま適用可能かというと、そういう訳にはいかないため、造船であれば造船に特化したシステムを開発していきたい。
写真8 左から宇佐見様,著者,宮崎様

5.おわりに

今回取材をさせていただいたアルモニコスは、3次元形状処理技術の開発を主としている会社であった。しかし、3次元化することが目標ではなく、3次元化したデータを用いて企業が困っている案件を解決することを最終目標とされているということであった。また、個々の企業それぞれのニーズに特化したソフトを開発することで、社会に貢献しようとする努力をされていると感じた。

謝辞

本記事の取材にあたり、大変お忙しい中インタビューならびにソフトのデモンストレーションに快く応じていただいた宮崎様、宇佐見様に深く御礼申しあげます。また、取材の機会を与えてくださった日本船舶海洋工学会ならびに編集委員会委員各位に深く御礼申し上げます。

竹内(たけうち) 啓洋(あきひろ)
大阪府立大学大学院工学研究科
航空宇宙海洋系専攻
海洋システム工学分野修士2年(取材当時)

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