現在、常石造船(株)常石工場 生産部 塗装グループ職長であり又、溶接の「匠」である奥園 一光(おくぞの かずみつ)さん(図1)を「造船所のかっこいいオヤジ」として紹介します。
奥園さんは、1974年(昭和49年)4月に常石造船(株)に入社し、当時の船殻工作部船殻外業課に配属されました。
船殻では30年間、溶接班として加工から小組、搭載まで経験し、何度となく海外工場(フィリピン、中国)へ赴き、溶接の技術指導者として現地作業員の教育にあたりました。特に2003年の中国工場立ち上げ時、2006年のフィリピン工場溶接トレーニングセンター立ち上げ後の現地作業員教育は、記憶に残っているようです(図2、図3)。
その後、建造部船装グループを経験し、2008年に現職である生産部塗装グループ職長で活躍されていますが、長年にわたって国内外における溶接指導に携わってこられた結果が、2011年2月に溶接「匠」の称号を与えられたのだと感じました。
近年では、パラグアイ工場の立ち上げ後に溶接技術、塗装技術指導のみならず、足場作りや検査も含め多種多様に現地作業員への教育に出張されています。
塗装グループは, 塗装という職業柄、足場設置作業も仕事の範疇とのことです。塗装チームリーダー、足場チームリーダーがいるので信頼して任せ、必要な時にアドバイスを行っているとのことですが、普段は上流や下流工程との摺り合わせが必要で、人とのつながりがないと仕事はうまく運べないとのこと。
職長として、ブラスト/塗装工場建設(図4)にも携わり、どこの造船所も作業工程の一つとして定着していると考えますが、ブラスト後の塗装までを屋内でのトコロテン方式で2~3日でブラスト/塗装工場から出しています。その間に、自主検査が行われ、船主/船級検査が行われることになります。
次章の「若手への道しるべ」につながりますが、若手、ベテランを問わず、「判らない事は恥ずかしがらずに声をかけ教えてもらう。又、問われたら答える。」といった具合にコミュニケーションをとり、仕事を円滑に行うことが、奥園さんの「仕事の流儀」であると感じました。
来年、定年という区切りを迎えるにあたり海外も含め若手や後継者への道しるべを次のとおりまとめて頂きました。
奥園さんのリフレッシュ法は、休みの日に、農道や山歩きをしながら季節ごとの草花を散策することのようです。場合によっては、その株も家に持ち帰り、庭に植え育てているようです(図5)。食事も摂らずに、水のみで一日中歩き回ることもあり、家族から叱られることもあるようです(携帯電話で帰ってこいコールもしばしばとか)。夏には、ミニトマト、ナス、きゅうりなども育てているようです。
二つ目のリフレッシュ法は、風呂にゆっくり入ること。そして湯上りのビールと焼酎が楽しみで一日の疲れを癒しているようです。
三つ目は、お孫さんの世話をする時のようです。
どのような仕事をするにしても、人との繋がりが必要であることを改めて教えられました。特に、若手から「オヤジ」と呼ばれるように親しくなっていることが、奥園さんの人柄を表しているように感じました。
これからもリフレッシュをしながら元気な体を維持して、後輩への指導を宜しくお願い致します。
福岡 邦孝(ふくおかくにたか)
常石造船(株) 設計本部 設計管理部
部長