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シリーズ:造船所のかっこいいオヤジ

Vol.028 軸系工事は俺に任せろ!

1.はじめに

図1 砕氷船のプロペラ軸と中井さん(建造ドックにて)

ジャパンマリンユナイテッド(株)津事業所造船部の「かっこいいオヤジ」といえば、この人!中井(なかい) 和利(かずとし)さんを紹介します。

中井さんは、昭和45年、日本鋼管(株)津造船所に入社され、入社から41年間、機関仕上げ職一筋にやってこられました。班長、作業長を任され、作業長勇退の平成23年、59才の時に、この間に培った技術力が技術集団に必要だということで、艤装技術グループに異動となりました。

機関仕上げの仕事というのは、船の心臓部となる主機(推進エンジン)や発電機、プロペラ、舵などの据付工事から機器の調整、試運転、そしてオーナーに引き渡すところまでを担う、即ち船を仕上げる職種です。

2.軸系の精度

図2 主機からプロペラまでの軸系イメージ

全長300mもある船を建造する中で、軸系(図2参照)や舵系の精度は「100分の1ミリ」単位を要求されます。「船は生き物」これが、仕上げ職の常識。どういうことかというと、船ってびくともしないように見える鉄のかたまりですが、気温の変化や、浮力が加わると、いとも簡単に変形します。主機や軸系については、かならず浮いてから据付しなければなりません。しかし浮力だけでもなく、温度も重要なポイント。船体が大きいと、日が当たる部分と当たらない部分が出てくるため、温度差が出来ます。船体である鉄は熱により伸び縮みするので、重要な軸芯の位置もどこが正しい位置なのか分からなくなります。そのため船体の温度が同じになる夜(日が当たらない時間)に重要な作業を進めなくてはなりません。刻々と変化する船体、まるで大きな生き物のようなものなのです。

そのような環境下で、100分の1mm単位で大型機器を据付けていく、「仕上げ職は、毎日毎日が勝負!」と中井さんはいつも若手に対し熱く語っています。そうした気が抜けない工程を全てクリアし、船が完成し、無事引き渡される時の満足感、これが中井さんの原動力です。

3.若手の育成

図3 若手社員との事前検討の様子

一昨年、定年を迎え再雇用で職場に残った中井さん。今、次の世代の技術者を育てることに力をそそいでいます。

特殊船を経験したことの無い若手技術者、一人一人に細やかな指導を行う中に、職人としての厳しい面も見られます。昨年建造した砕氷船での軸系、舵系工事は非常に難易度の高い工事でしたが、作業にかかる1年前から中井さんの数え切れないほどある過去の経験を紐解き、綿密な準備を行いました。検討を行う過程で、「うー!」っと若手を唸らせる事、数え切れず、我々技術者の神様のような存在です。

図4 思い出に残る砕氷船プロペラとダクト

昨年の9月、砕氷船のプロペラが隙間十数ミリのプロペラダクトの中にピタッと収まったとき、深夜の建造ドック渠底で作業していた作業員や見守っていた技術担当、船主監督他、多くの人から「ウォー!」といった感動の声が上がりました(図4 参照)。連夜の残業で体は疲れてた中で出た言葉、「だから仕上げ職が一番やりがいのある仕事なんだよ!」との言葉の中に中井さんの思いが詰まっていました。私にとっても、「この仕事に関われて良かった」と思える、一生思い出に残る深夜の1コマでした。

そして今、当所で初めて建造する大型LNG船に向け、再び中井一門は意気揚々と前進しています。

4.趣味の海外旅行

図5 地中海クルーズの一コマ(カナリア諸島にて)

中井さんが、5年前に思い立って続けているのが、年に一回の海外旅行。一回の旅行は10日間程度で、毎年続けられています。

老後に、いつかは、と思って楽しみにして来られ、「足腰が丈夫な今しかない」と思い立ったとの事です。今年の海外旅行では、初めてクルージングに挑戦。イタリアからカナリア諸島まで、豪華客船で12日間の船旅。奥様は、「休みの日まで、船に乗らなくても...」と、半分呆れ顔だったとか。「やっぱり船はいい、リピーターになりそう」と、中井さん。仕事のできる男は、遊びもできる、そういうことを感じさせる人です。

5.プライベート

私が、この地に転勤してきてから早10年が経ち、中井さんとの関係も、最初は、技術スタッフと現業班長の関係、次は担当員と作業長、そして係長と作業長、そして現在のグループ長と技術スタッフという関係と、刻々と変化し、いろいろな立場、関係で彼とお付き合いさせていただきました。その中で一貫して言えることは、「技術的によく考え、正直であり、妥協しない」ということです。この言葉は、今、技術グループを任された私にとっても、いつもそうありたいと願う言葉です。

6.おわりに

私は現在、佐藤さんと同じ機装係で仕事をしていますが、その圧倒的な経験、技術、人を納得させる話術等々、見習うべき点が多々あり、私の行き届かない点を埋めていただいています。現在は佐藤さんに頼り切っているところがありますが、ずっと頼ってばかりではいられません。わたしも「オヤジ」に負けぬ様、その技術、仕事への取組み姿勢を受け継いで行きたいと思っています。

藤田(ふじた) 知利(ともとし)
ジャパンマリンユナイテッド(株)津事業所
造船部 艤装技術グループ
グループ長

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