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シリーズ:造船所のかっこいいオヤジ

Vol.030 何もしないで考えるより、やってみろ!

1.はじめに

図1 同僚と岩田さん①

三菱重工(株)防衛・宇宙ドメイン神戸艦船工作部工事推進課(取材当時)の「かっこいいオヤジ」岩田(いわた) 健治(けんじ)さんをご紹介します。

岩田さんは、昭和48年3月に入社、1年間の技能研修を経て、修繕船部機関課に配属され、以来42年間に亘り内燃機関をはじめとする「動くもの」の修理や建造一筋に携わってこられた仕上職人です。

入社当時は高度経済成長の真っただ中で、神戸造船所だけで同期入社が300人を超える中、ちょうど改造船ブームで、船体延長工事や主機関の換装工事など栄華を誇っている修繕船部に配属されました。

図2 同僚と岩田さん②

2.「かっこいいオヤジ」たる所以

そんな修繕船部での担当業務は、機関室床下の弁や機械の取外し、燃料加熱器の工事など、燃料と潤滑油にまみれての作業からでした。技量が上がっていくに合わせて、機関室下段の汚れ仕事から、機関室上段の主機ターボチャージャー工事へと昇格(?)していったそうです。仕上職人の勲章である爪の間の真っ黒な汚れやハンマー振りで鍛えた手指には、今でもその痕跡が残っています。

このオヤジ、顔は大きい、態度もでかい、その上、声がデカい。誰が見ても怖いオヤジの風采ではあるが、その実、「決断に迷いはなし」「中途半端は許さない」「面倒見がいい」という人なりです。仕事に真摯に向き合い、難題に立ち向かい、仲間と辛苦を分かち合ってきた頼れるオヤジであります。決してスマートではありませんが、これまで育ててこられた後輩から慕われている「かっこいいオヤジ」です。

3.エピソード

図3 愛車と愛犬

担当してきた製品群は、修繕船に始まり、海洋土木作業船、地球深部調査船のサブシー艤装、新造商船機関艤装、潜水艦・潜水機種の建造および修理と神戸造船所が手掛けた船舶・海洋関係の全製品に携わっており、新規案件の初期検討や事故原因調査等では、豊富な実務経験から意見を求められ、手腕を発揮してこられました。その中でも、特筆される工事としては舵取装置の作動音対策工事です。作動音を低減させる工事であったのですが、設計陣も現場も試行錯誤の連続でした。軸心の計測、軸受の外観状態など得られた情報をベースに「あるべき姿」を明らかにし、設計陣と協議を重ね、現場でそれを実行していく工事でした。軸心計測は夜間、計測値の検討・工事要領の指示は昼間に、それぞれ行われるので、現場取り纏め者としては、昼夜兼行での繰り返し作業となりました。これには心身共に参ってしまうところなのですが、部下は交替で作業させるシフトを取り、自身は会社で寝泊まりして、現場で陣頭指揮を執り完工させ、確認運転で対策効果を確認できたという建造ヤードの面目躍如たる出来事でした。今では、こんな無茶な工事は許されませんが、与えられたミッションに真摯に対峙し、あらゆる知識と経験、それに加えてチームとして取り組む姿は、「造船所のかっこいいオヤジ」そのものであったと思います。

4.教え

図4 お孫さんと

「何もしないで考えるより、やってみろ!」というのが口癖です。ああでもない、こうでもない...と悩んでいては、目の前の状況は何も変わらない。「解らないなら、解るまでできる限りのことをやってみろ、それができんのなら、この仕事を辞めてしまえ!」って怒鳴り散らしながらも、心の中では「本当にこれでいいのだろうか」と葛藤の連続ではなかったかと思います。おかげで近年、白髪が目立ち、一層迫力を醸し出している風采となっています。

5.プライベート

会社人間でこれっといった趣味を持たないとおっしゃる岩田さんですが、愛妻家の一面をお持ちです。休日は、最近乗り換えた車(オレンジ色の「ハスラー」)に、奥様と愛犬ウルルを乗せ、公園に出掛けたり、買い物や日帰り温泉へと、奥様の言うことには逆らわず、ぴったり寄り添って過ごされているようです。

また、お2人の息子さんと男の子3人のお孫さんに恵まれ、実家に遊びに来られたときは、お孫さんの相手をすることでエネルギーを貰い受けているとか...。来春には4人目のお孫さんが誕生予定で、「初めての女の子だぁ」と目尻を下げて話しておられるこの頃です。

6.おわりに

以前は、造船所の仕事といえば、「3K(きつい・汚い・危険)職場」と言われておりましたが、最近では、作業環境も生産性も格段に向上し、「きれいな工場でないと良い船は作れない」と変貌してきております。これまでの岩田さんが培ってこられた職人魂そのものである「何もしないで考えるより、やってみろ!」を心に刻み、これからも、われわれが自分自身の確固たる信念を強く持って造船を受け継いでいきたいと思います。

宮地(みやじ) 隆之(たかゆき)
三菱重工業(株)
防衛・宇宙ドメイン 艦船事業部
神戸艦船工作部
主席

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