住友重機械マリンエンジニアリング(株)の「かっこいいオヤジ」、製造本部工作部外業グループの職場長である今泉 浩さんを紹介します。
今泉さんは1975年(昭和50年)4月に入社され、当時の工作部外業2課に配属されました。最初の配属班では管工場での管製作の為の配管データの計測を行っていたそうです。約半年後には船上の艤装配管職となり、約20年間主に機関室内の配管職人として勤務されました。その後1995年に地上艤装に異動となり、そこで12年間、取付職はもちろんの事、仕事のやり方の改善活動にも参画しました。その後、再び船上艤装へ戻り、2007年には現職である機電グループ職場長となって、ご活躍されています。
職場では的確なアドバイスや道しるべを示してくれる今泉さんですが、その教えの礎となるいくつかのエピソードを紹介したいと思います。
前述の通り、最初の配属から半年後、機関室の配管職となった今泉さんは、突然の異動でとまどいました。前職の経験から図面を見る事はできるが、肝心の配管の取付ができず、最初から配管職に配属された同期に後れを取ってしまいました。そんな時、面倒見の良い先輩に出会い、この先輩と接するうちに、「この人には迷惑をかけられない」と思い、仕事に打ち込んでいきました。また、この「造船所のかっこいいオヤジ」シリーズの代名詞ともなっていますが、今泉さんも相当な負けず嫌いです。熱くなり過ぎた頭を冷やす為に、雪の降る中、冷水を頭からかぶったというエピソードがあるほどで、そんな今泉さんが同期に負けている事を我慢できなかったのは言うまでもありません。先行している同期を追い抜く為にも人一倍仕事に打ち込んでいきました。
22歳の時には、2か月ほどマレーシアの造船所に応援で出張しました。この時には現場作業の監督として出向いた訳ですが、最初の頃は、現地の職人さん達の作業を見て、もっとこうした方が良いのに、と感じる事が多くやきもきする事もしばしば。そのうち、職人としての血が騒ぎ、工程が守れない恐れも出てきた為、ついには現地の職人達を相手に作業改善を自分の作業を見せながら行いました。考え方の異なる現地の方との作業は苦労が多かったそうですが、人として大きく成長できたと経験を語ってくれました。
その後は、船上艤装と地上艤装を経験されていますが、仕事中は声をかけられない雰囲気が辺り一帯に流れるほど仕事に没頭していました。また、筋が通っていない事が大嫌いで、自分が納得できなかった事に関しては、相手が誰であろうと譲らず、時には工作部長を相手に納得するまで話し合いを続けた事もありました。
班長時代には地上艤装において、全く新しい船の艤装をどうやったら工数を少なくできるか、図面検討から、工程のスケジュールまで日々検討しました。この時は設計とやり取りを頻繁に行う中で、現場の要望を叶えるために、図面の隅々まで調べつくして打合せに臨んでいました。工程の検討完了と同時期に船上艤装へ異動になってしまいましたが、後輩が後を引き継いだ後も、時々状況を確認し的確なアドバイスを送っていました。実際の建造では今泉さんの検討した通りに後輩達が作業を行い、報告を受け、嬉しかったとの事です。
現在、職場長として活躍されている今泉さんは、部下達の育成にも力を入れています。若手の部下へ常々言っているのは、「考えて仕事をやりなさい」という事。与えられた仕事をただこなすだけでなく、どうやったら仕事をうまくできるのか、この作業ならどのくらいの時間でできるのか、考え、そして実践していく事が大事であると、教えています。実際に、今泉さんは若手時代、現場には時計を持っていかない事にしていました。これは自分の作業と時間の感覚を養う為に、敢えてそうしていたとの事で、これによって、今では多くの作業の原単位を感覚で把握できるようになっています。
この「考えて仕事をやる」ことに対して、今泉さんは具体的に三つの事を若手への教えとして掲げています。
一つ目は「チャレンジ」。「できません」というのは逃げであり、何事もチャレンジする事が大事と考えています。まずは何も言わずにやらせてみる事もしばしばあります。やらせてみてから、どこがまずかったのか、考える時間を取って、改善させる事にしています。
二つ目は、「自信を持って指示を出す」。自分に自信を持って指示を出す事が大事だと考えており、部下達には、責任は職場長である自分が持つから、協力工の方から何か聞かれても、分からないとは答えないで、きちんと答えて指示を出しなさいと指導しています。
三つ目は「視野を広く」。最近は視野が狭い若手が多いと感じており、自分の作業だけでなく、周りも注視できるようにと、常々アドバイスしています。少し手伝ってあげるだけでも、もっとうまくやれる事は現場にはまだまだ多くあると考えています。
プライベートでの今泉さんはというと、スポーツが大好きです。特にバスケットボールは学生時代から続けており、現在も会社のバスケットボール部に所属しています。学生時代には、なんとリングまで届くほどの跳躍力の持ち主だったそうで、自分より背の高い相手に対して見下ろす状態でリバウンドをキャッチしていたとの事で驚きです。また、社内のソフトボール大会には、強豪チームである外業グループの選抜チームで毎年参加されている実力の持ち主です。
また、家に帰ると、3人のご子息の成長を温かく見守る家族思いのお父さんです。娘さんの将来の旦那さんが挨拶に来た時のシミュレーションを既にしているとの事で、良き父親の一面が垣間見れます。現在は、3人とも成人しており、子育ても一段落との事で、休日は奥さんの要望に応えて、庭に花壇を作ったり、一緒に外食に出掛けたりと、夫婦の時間を大切にしているそうです。
今回記事を作成するにあたって、インタビューをさせて頂きました。話の節々に後輩達への配慮や芯となる部分で情熱を持って仕事に取り組まれている事が感じられ、部下達から慕われている事がよく分かりました。これからも、明るく元気に現場を引っ張っていってください。
岡山 優
住友重機械マリンエンジニアリング(株)
営業開発本部 開発グループ