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研究委員会

造船業におけるデジタルトランスフォーメーションの検討委員会

分野:設計・艤装

1.何をどこまで明らかにしようとするのか(目的と到達目標)

本提案は、日本の造船業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けて検討するためのシナリオの作成を目的とする。

DXは思想設計を基にしたCADデータを利活用して工程をデジタル化して見える化を行い、どのように工程マネージメントを実施するかにある。大量生産型の製造業では多くの工程のデジタル化が進み、IoT技術とリンクすることにより、膨大なデータから効率化の糸口を探す方法が取られている。本質的には工程のデジタル化により得られた情報を最大限活用し、生産性向上を目指すものと考える。

一方、重厚長大の造船業は他の製造業とは異なり個別生産であることから、どの工程のデジタル化が実施可能であり、費用対効果がどの程度なのかが明らかでなく、DXの検討を躊躇しているところがある。

日本の他産業や海外造船所へのDXの導入による成功事例はあり、これらの成功事例を直ぐに導入できるかというと、各造船所の実状に合わない、現状の建造方式を変えてまで合わせることをためらうことがネックとなり、進んでいないことが現状であると考える。

研究会では、実務者、研究者、有識者がこの問題を議論し、日本の造船工程へのDXを推進するための効果的なシナリオを作成することを目的としている。

本提案では以下の項目に取り組む

  1. 製造業全般でのDXに関する事例の調査
  2. 造船業へのDXに関する海外等の事例の調査
  3. 調査に基づいた、日本の造船業へのDX法のシナリオ作成と評価
  4. 議論を通じた実務者、研究者、有識者によるDXに関わるコミュニティの立ち上げ

2.研究の特色、独創的な点及び意義

日本の造船所が今後に直面する状況として、人口減少・急速な少子化・外国人労働者の受け入れなどによる造船所内の熟練者割合の減少、働き方改革の導入による作業可能時間の減少などが挙げられ、従来の延長線の上での現場力に頼る建造方法の見直しが急務である。造船業の産業力強化のためにも、学会としても検討を行う必要がある。ここでは、DXについて、現行CADとのリンク、モデュラー設計のような設計思想としての検討や、TOC(Theory of Constrain)のようなマネージメント思想の検討も含めて、設計・建造マネージメントの強化について検討する。

国内海事関連でも、デジタルツインに関する取り組みが始まっているところはあるが、国内の製造業や、海外を含めたDXの包括的な状況把握を十分に行い、戦略的に検討する必要もあると考える。

3.国内外の関連する研究の中での当該研究の位置づけ

デジタル化についてはIndustry4.0やSiemenseに代表されるサイバーフィジカルシステム事例、GEのデジタルツイン事例、造船業においてもMeyer Werft造船所の成功例がある。一方、現状では日本の造船業へこれらの成功事例をそのままの導入することの難しさもあると考える。本提案は、日本の造船業のDXの実効性や阻害要因の調査と、導入するためのシナリオについて検討し、日本の造船業の競争力を強化しようとするものである。

基本情報

委員会長(所属)
篠田 岳思(九州大学)
委員会委員数
14名
キーワード
デジタルトランスフォーメーション、デジタルツイン、サイバーフィジカルシステム、モデュラー設計
活動期間
R1.8~R4.3

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