18905
公益社団法人 日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、28回目となる今年は合計10隻が選考の対象となりました。
シップ・オブ・ザ・イヤー2017の応募作品発表会と選考委員会は、去る5月14日東京都港区の明治記念館で開催され、「シップ・オブ・ザ・イヤー2017」には、国内最大となる20,000TEU型コンテナ船「MOL TRUTH」が選ばれました。
各部門賞には、「あざれあ」(大型客船部門)、「鷹巣」(小型客船部門)、「TRANS HARMONY 1」(大型貨物船部門)、「はいぱーえこ」(小型貨物船部門)、「天鷹丸」(漁船・作業船部門)「かいりゅう」(海洋構造物・機器部門)がそれぞれ選ばれました。
授賞式は、日本マリンエンジニアリング学会および日本航海学会の表彰と共に、海事三学会合同表彰式として7月13日に海運クラブにおいて執り行われます。
「シップ・オブ・ザ・イヤー2017」には、大型客船部門1隻、小型客船部門2隻、大型貨物船部門3隻、小型貨物船部門2隻、漁船・作業船部門1隻、海洋構造物・機器部門1隻の、計10隻の応募があった。これを受けて3月28日に学会所属の技術専門家からなる予備審査委員会が開かれ、10隻すべてが本選考委員会に推薦された。
候補船の発表会・選考会は、5月14日に明治記念館(東京都港区)で開催され、一般参加者も多数聴講する中、各応募船をアピールする熱心なプレゼンテーションが行われ、その後別室にて選考委員会が開催された。全13名の選考委員のうち12名が出席、会場に参加した一般会員による投票の最多得票船を1票として加算し、満票で13票ということで選考を開始した。
事前の予備審査委員会での審査結果(技術の独創性・革新性、技術・作品の完成度、社会への波及効果、話題性・アピール度)やコメントを参考とし、発表会でのプレゼン内容や質疑をもとに選考が進められ、その後投票に進んだ。まず全候補作品から最優秀作品一点をシップ・オブ・ザ・イヤーとして選定し、その後、優秀な作品に対してシップ・オブ・ザ・イヤー部門賞等を授与する選考方法とした。
投票の結果、全長400mと世界最大級となるスケールメリットのほか、様々な省エネ技術を採用し輸送効率の向上を図った20,000TEU型コンテナ運搬船「MOL TRUTH」が1回目で過半数の9票を獲得し、見事シップ・オブ・ザ・イヤー2017の栄冠を手にした。
続いて、各部門賞の選考を実施し、大型客船部門賞に「あざれあ」、小型客船部門賞に「鷹巣」、大型貨物船部門賞に「TRANS HARMONY 1」、小型貨物船部門賞に「はいぱーえこ」、漁船・作業船部門賞に「天鷹丸」、海洋構造物・機器部門賞に「かいりゅう」が、それぞれ審査委員の過半数の票を得て選考された。
選考委員長 森本 靖之
全長400m、世界最大級の20,000TEU 型コンテナ運搬船。スケールメリットの他、様々な省エネ技術の採用で輸送効率の向上を図った。構造強度安全性確保にも注力し、海上技術安全研究所や複数船級協会と連携した解析を実施した。環境負荷低減のため将来LNG 燃料船へ改造するための準備として、主機関構造を一部変更している。
2017年6月に小樽~新潟航路に就航した代替新造フェリー。従来船に比べて航海速力のアップと燃料消費量の削減を達成するため、最新省エネ船型や近接2軸推進システムに加え、三菱空気潤滑システム(MALS)等の高効率推進システムを採用して、船体抵抗の低減と推進効率向上を達成している。
離島航路の水中翼付高速双胴船である。船体は細長く、船首ステムを立ち上げて水線長を長くし、双胴間に配置した水中翼で船体を浮上させることにより造波抵抗を抑えている。水中翼に設けた可動翼をコンピューター制御することによりローリング、ピッチングを減らし乗り心地を向上させている。曳き波も低減され、他船や港湾施設に迷惑をかけることなく運航可能である。
「地球環境と人への調和」をコンセプトに、船舶事故0に向け、赤外線暗視カメラ等の安全技術を採用。環境負荷低減では、風圧抵抗低減船型や各種省エネ技術の採用で燃費を約17%改善(輸送台当たりCO2排出量を52%低減)。独自の艙内照明や断熱塗料の採用で、現場目線で人にやさしい作業・居住環境を実現した。
二重反転プロペラ、ハイブリッド推進システム、LVフィン、ラダーバルブ等の最新技術を取り入れ、船型最適化を実施した省エネ内航貨物船。高速運航時には主機関で推進し軸発電機で電力供給するが、港内や瀬戸内海等の短距離低速運航では、電気推進システムに切替えて軸発電機を推進電動機とする。低振動、低騒音、船員負荷低減で乗員の居住環境が改善した。
水産教育、海技士(航海・機関)養成機能と水産研究に対応できる調査機能をバランス良く兼ね備えた漁業調査練習船。最先端の研究課題に対応するための高機能な各種装備は高度な専門教育にも活用される。推進機関にはハイブリッド推進システムを採用し、環境対応教育装備としてSCR、水混合燃料生成装置、電力監視システムを搭載した。
黒潮からの海流発電の実現を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けて開発した「水中浮遊式発電システム」による、海洋再生可能エネルギーの実証試験装置である。2017年8月に100kW規模では世界で初めてとなる黒潮実海域での発電実証試験に成功した。2018年度はさらに長期の実海域試験が予定されている。
近日中のイベントはありません