海事プレス社のご厚意により、今年も受賞船を特集した海事プレス増刊号「シップ・オブ・ザ・イヤー2023」を、先着100名の方に進呈します。ご希望の方は1.郵便番号、2.住所、3.氏名、4.電話番号を記載し、学会事務局までemailでお申込みください。
バックナンバー(2012~2022、除2016)についても残部限りで受付けます。
海事プレス社のご厚意により、今年も受賞船を特集した海事プレス増刊号「シップ・オブ・ザ・イヤー2023」を、先着100名の方に進呈します。ご希望の方は1.郵便番号、2.住所、3.氏名、4.電話番号を記載し、学会事務局までemailでお申込みください。
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公益社団法人 日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、34回目となる今年は合計5隻が選考の対象となりました。
シップ・オブ・ザ・イヤー2023の応募作品発表会と選考委員会は、去る5月14日に開催され、「シップ・オブ・ザ・イヤー2023」には、世界最大級の24,000超型コンテナ船6隻シリーズの1, 2番船である「ONE INNOVATION / ONE INFINITY」が選ばれました。また、産業活動で排出されるCO2を回収して転換利用や貯留を行うための液化CO2(LCO2)海上輸送実証試験船として竣工した「えくすくぅる」が技術特別賞を受賞しました。
各部門賞には、「あいしま」(小型客船部門)、「國喜68」(小型貨物船部門)、「大島丸」(漁船・調査船部門)がそれぞれ選ばれました。
授賞式は、日本マリンエンジニアリング学会および日本航海学会の表彰と共に、海事三学会合同表彰式として7月19日に海運クラブにおいて執り行われます。
シップ・オブ・ザ・イヤー選考委員は下記のとおりです。
選考委員会には11名の委員が出席した。欠席した平野委員からは、各応募船の評価を文書でいただき、選考時の投票に加えた。
まず、応募時に提出された各船の資料、プレゼンテーションの内容等について、臨席していた予備審査委員会の委員の意見も聞きながら意見交換が行われた。その後、各委員がシップ・オブ・ザ・イヤーに相応しいと思う船を1~2隻程度、その推薦理由も説明しながら挙げた。その結果「ONE INNOVATION/ONE INFINITY」が8票、「大島丸」が4票、「えくすくぅる」が3票、「國喜68」が2票を獲得した。
この結果、「ONE INNOVATION/ONE INFINITY」を全会一致でシップ・オブ・ザ・イヤー2023に選出することを決めた。超大型コンテナ船の建造では、先行されていた韓国、中国に対抗すべく日本の2大造船企業がタッグ(コンソーシアム)を組み、両社の技術力を結集させ、国内3ケ所の工場で、24,000個積みという世界最大級のコンテナ船を約半年という短期間に6隻建造したことが高く評価された。また同船型には、新しい造船技術が多く取り込まれており、なかでも風による抵抗増加を減らすと同時にコンテナ積み個数を増加させた新船首風防は新規性が高いと評価された。
船舶技術者からなる予備審査委員会から、小型貨物船部門に応募の「えくすくぅる」にシップ・オブ・ザ・イヤー技術大賞を与えることが報告された。同船は、液化CO2輸送における各種データが取得できる試験船という役割と、実用的なLPG輸送船を兼ねた船で、将来的な大型船によるCO2海上輸送の実現に向けた貴重な技術知見が得られるものと期待され、話題性・社会へのアピール度は高く、日本の造船業の新事業にもつながる可能性が高いと評価された。
次に各部門賞の選考に移った。
まず小型客船の部の「あいしま」については、在来型貨客船である被代替船に比べて大型化を図り、RORO型にして車を積載できるようになり、車で島に釣りに出かける新しい需要、商店のない島への移動販売車の定期的な輸送、バキュームカーなどの利用が進んだ。またすいかの一大産地である相島に相応しい外観デザインを、プロジェクションマッピングを用いて評価する手法で決定したこと、垂直船首、フィンスタビライザー等を採用して省エネ化、乗り心地の向上を図ったことが評価された。
次に小型貨物船の部の「國喜68」は、内航船の進化を目指す目的で設立された一般社団法人内航ミライ研究会を中心として、運航、離着桟、荷役、停泊時の全モードにおける省エネ化を統合的に行い、次世代型内航貨物船として完成させたことが高く評価された。
漁船・調査船の部の「大島丸」は、バッテリーハイブリッド電気推進システム、ゲートラダーを搭載するなどの、練習船としての革新性と、乗船する学生の勉学環境と同時に快適性の確保、さらに地域に船員教育の重要性を広く知ってもらうために、船飾照明等を行うなどして、積極的に情報発信する姿勢が高く評価された。
選考委員長 池田 良穂
世界最大級の24,000超型コンテナ船6隻シリーズの1, 2番船であり、今治造船とジャパンマリンユナイテッドのコンソーシアムによって建造された。幅広い運航域を想定し、高い積載能力を確保する一方で、省燃費性能及び環境性能が求められる中、両社の技術を駆使し高いレベルでの環境性能、積載性能、燃費性能を実現した新設計船である。
カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として、CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)が注目されている。ここで、CCUSのバリューチェーンを実現するためには、回収したCO2を貯留地まで輸送する手段が必要であり、LCO2輸送船は、安全かつ低コストな輸送手段として、その技術確立が期待されている。本船は、LCO2海上輸送実証試験船として竣工した。
萩~相島航路に就航した小型フェリーで、このサイズのフェリーでは初となる垂直船首方式(三菱特許)の新船型を採用して推進性能の向上を図っている他、冗長性及び狭い港内での操船性に配慮して2機2軸2舵方式を採用すると共に、バウスラスタ及びフラップ舵を装備している。また利用者の高齢化に対応したバリアフリー設備及び横揺れを軽減するためのフィンスタビライザを装備している。
船舶は、運航時、離着桟時、荷役時・停泊時の各モードでCO2を排出する。本船は、それぞれのモードに省エネ技術を組み合わせた"連携型省エネ船"の普及を目的として、建造された内航貨物船である。さらに、船員不足などの課題に対応するため、様々な船員労働環境改善のための技術を搭載している。CFD技術の最大限の活用、主に停泊時に使用するための大容量バッテリの搭載などによって、環境にも船員にも優しい船を実現した。
大島商船高専では、これまでにないバッテリーハイブリッド電気推進システムと、特殊舵ゲートラダーを搭載した革新性の高い練習船をデビューさせた。運航形態においては、安全性と効率を両立させることにより、今後の海運業界を担う若手船員の実践能力向上に貢献することが期待される。練習船としての伝統を残しつつ、動線を主軸に置き照明にも工夫を凝らした設計により、災害支援時に活躍できる船となっている。