海事プレス社のご厚意により、今年も受賞船を特集した海事プレス増刊号「シップ・オブ・ザ・イヤー2022」を、先着100名の方に進呈します。ご希望の方は1.郵便番号、2.住所、3.氏名、4.電話番号を記載し、学会事務局までemailでお申込みください。
バックナンバー(2012~2021、除2016)についても残部限りで受付けます。
海事プレス社のご厚意により、今年も受賞船を特集した海事プレス増刊号「シップ・オブ・ザ・イヤー2022」を、先着100名の方に進呈します。ご希望の方は1.郵便番号、2.住所、3.氏名、4.電話番号を記載し、学会事務局までemailでお申込みください。
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公益社団法人 日本船舶海洋工学会が授賞するシップ・オブ・ザ・イヤーは、毎年日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、33回目となる今年は合計8隻が選考の対象となりました。
シップ・オブ・ザ・イヤー2022の応募作品発表会と選考委員会は、去る5月11日に開催され、「シップ・オブ・ザ・イヤー2022」には、風力を推進力として直接利用する「松風丸」が選ばれました。
各部門賞には、「さんふらわあ くれない」(大型客船部門)、「のがみ」(小型貨物船部門)、「海神丸」(漁船・調査船部門)、「第五十八金栄丸」(作業船・特殊船部門)、「長期運用型UUV」(海洋構造物・海洋機器部門)がそれぞれ選ばれました。
授賞式は、日本マリンエンジニアリング学会および日本航海学会の表彰と共に、海事三学会合同表彰式として7月14日に海運クラブにおいて執り行われます。
選考委員会には、川崎委員が欠席して11名の委員が出席した。
まず、各委員がシップオブザイヤーに相応しいと思う船を1~2隻程度、その推薦理由も説明しながら挙げることから始めた。その結果「松風丸」が8票、「さんふらわあ くれない」が3票、大河が2票、あさひ、のがみ、第五十八金栄丸は各1票を獲得した。
その後、各船の評価についての議論が行われ、さらに臨席していた予備審査委員会の委員の意見も聞きながら「松風丸」と「さんふらわあ くれない」についての議論をさらに進め、最終的には「松風丸」を全会一致でシップ・オブ・ザ・イヤー2022に選出した。風を利用した貨物船は、オイルショック後にも登場しているが、地球環境保全の流れの中で、再び、開発が行われて、実用化までされたことが高く評価され、かつ外観が目立っていてよいとされた。
次に各部門賞の選考に移った。
まず大型客船の部の「さんふらわあ くれない」については、環境負荷の小さいLNG燃料のカーフェリーの本邦第1船であることが高く評価され、全員が部門賞に相応しいという結論に至った。
次に小型貨物船部門では「あさひ」と「のがみ」について選考が行われた。「あさひ」についてはバッテリー駆動の電気船であるが、バッテリー電気船の受賞が過去に2回あることから、その新規性をどう評価するかで意見が割れた。一方、「のがみ」については、球形船首ブリッジによる風抵抗を低減については類似船があるものの、さらに波による抵抗の削減を試みたことと、内航船員のための教育機能をもたせたこと、また日本のコンテナハブ港復活のキーとなる大型の内航フィーダー船としての実績を高く評価する意見があった。投票の結果、「のがみ」が6票、「あさひ」が5票となり、僅差であるが「のがみ」に軍配が挙がった。
漁船・調査船部門では「海神丸」は、大学の研究・教育に携わる船としてのすぐれた機能を有すると共に、災害時の支援にも活用できるように考慮されていることが評価され、全会一致で部門賞を授与することが決定された。
作業船・特殊船の部門では、「第五十八金栄丸」と「大河」の2隻について、活発な議論が行われた。「第五十八金栄丸」については地味な船ではあるが、社会インフラを整備する上で重要な役割を果たす海砂の採取、船上洗浄を効率的に行うこと、陸上からの監視システムなどが搭載され、作業船にしてよく考えられて開発されている点を評価する意見が多く、一方「大河」についてはハイブリット電気推進のタグボートとして今後のプロトタイプにもなると高く評価する意見もあった。議論の後、投票で決定することとなり、「第五十八金栄丸」が6票、「大河」が5票の僅差で「第五十八金栄丸」が部門賞を獲得した。
海洋構造物・海洋機器部門では、防衛装備庁の水中無人機UUVについて議論が行われた。モジュール化された船体、構成機器、そしてAIを使った自律機能の開発が評価され、かつ、発表の中で民生品への開放も視野に入れていること表明したことを評価する声があった。議論の後、全会一致で部門賞を授与することが決定された。
選考委員長 池田 良穂
伸縮及び回転機能を有する硬翼帆を搭載し、風力を推進力として直接利用することで大幅なGHG 排出量の削減を実現した。港内や輻輳域では視界確保ができ、荷役時は荷役機器と干渉しない角度で固定できる。これにより帆がない船と同様の安全性を確保し、従来船と同様の運用を可能としている。また、帆を最適な状態に維持する制御装置や最適航路を提案するWeather RoutingSystemなど、運用のための付帯装置も開発し実装している。
100年以上の歴史を誇る大阪―別府航路。3代目「くれない丸」は「瀬戸内海の女王」として愛された。その名を継ぎ2023年に就航した日本初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない」。世代を超えて船旅を楽しむ「カジュアルクルーズ」という新しい船旅を体験できる。また、LNGを燃料とすることでCO2排出を約25%削減、SOxは100%、NOxは約85%削減が見込まれる。
2015年就航の「なとり」をベースに、垂直バウやゲートラダー・システム、流線型煙突、フル電子制御エンジンなど新機軸を採用することでより一層の省エネ運航を可能にした。また近年問題になっている内航船員の後継者不足に対して、女性専用区画を含む21室もの船室と研修室を設け、10人の研修生が同時に乗船できるようにすることで自社での船員育成を行うことを可能とした。
練習船機能、最新の海中・海底測器による探査・観測機能、災害対応機能を備えた多機能練習船である。海底探査機能としては水深2,000m以浅の海底および海底下浅部に高分解能持つ海中・海底測器を導入しており、この範囲では世界一の探査性能を有する。また、ヘリコプター援用型の物資輸送が可能であるなど特徴的な災害支援機能を有する。斬新な外観も特徴である。
九州近海を運航する砂利採取運搬船で「船舶の安全性向上」「船員の負担軽減」等を考慮した船舶のDX化等の取り組みを実施。陸上から船舶の機関状態の監視を可能とする次世代機関状態監視システムの開発や状況認識システム「グローク・プロ」の搭載、オペレーター不足解消のためバックホウ式荷役装置を採用等、最新技術を活用したDX化に着手、船員の働き方改革にも寄与する船舶としての活躍が期待される。
研究用に試作したUUV(Unmanned Underwater Vehicle:水中無人機)。複雑かつ多岐にわたる任務が期待される将来のUUVの実現のため、多目的化及び効率的な能力向上を可能とすべく、船体、構成機器及びソフトウェアがモジュール化されている。また、長距離進出・長期運用能力の獲得のため、信頼性・環境適応能力を向上させるべく、故障等の内的異常や潮流等の外的環境に対応する自律機能を備えている。