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「籾山模型の魅力」  〜  14. 橋、鉄道、航空機、その他の模型
船の科学館 飯沼一雄

 籾山模型は、艦船模型と社名に謳っているように、模型製作といっても対象を船に特化した特異な会社であった。 しかし、僅かであるが船舶以外の模型製作も行っている。

 確認できるものとしては、橋梁模型、鉄道模型、航空機模型、ジオラマ模型等がある。橋梁は、一見造船とは縁もゆかりも無いように思えるが、橋の建設に用いられる鉄骨は今日でも造船所が製作している例が多い。

 東京では、大正12年(1923)9月の関東大震災後の橋梁建設で、隅田川に架かる「永代橋」、「清洲橋」、「白髭橋」の製作は川崎造船所が復興局より請け負っており、「永代橋」は大正15年(1926)完成した。 「清洲橋」は昭和3年(1928)完成、「白髭橋」は昭和4年(1929)完成、特に「永代橋」の下弦つなぎ材と「清洲橋」の上弦ケーブルには高張力鋼が用いられており、わが国で初めて橋梁に高張力鋼を用いた事例になったとのことである。 なお、「蔵前橋」は石川島造船所で昭和2年(1927)竣工している。

 その、川崎造船所製の「永代橋」と、石川島造船所製の「蔵前橋」の縮尺1/100の精密模型が、東京大学工学部土木工学科に保存されている。
 不思議なことに、石川島造船所製の「蔵前橋」模型には「艦船模型製作所 籾山作次郎」と名板が付けられているが、川崎造船所製の「永代橋」には名板がなく作者不明である。 しかし、川崎造船所と作次郎氏の関係及び展示ケースの類似性から、「永代橋」も籾山模型であることに間違いはないと思われる。

[写真58] 「永代橋」、「蔵前橋」の橋梁模型
 鉄道模型としては、数点製作されているようだが、写真で確認できるものとしては戦前の作として、大阪の電気科学博物館に納めた「ディーゼル機関車 EF53」があり、航空機模型としては海軍機中心で空母搭載機のように小スケールのものが多かった。

[写真59] 大阪電気科学博物館の機関車模型
 ジオラマ模型としては、「船の科学館の配置計画模型」、「長崎 小菅スリップ船渠」があるが、「船の科学館の配置計画模型」は昭和45年(1970)頃の計画時に作られた建築模型で、現在は保存されていない。 また「長崎 小菅スリップ船渠」の方は三菱長崎造船所「史料館」に保存されている。
<表17> 籾山艦船模型製作所が製作した、橋梁、鉄道、その他の模型

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